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日本の町パン文化が変わる? 老舗台湾サンドイッチ「洪瑞珍」が高田馬場に上陸

台湾サンドイッチの生みの親、直営実店舗を日本初出店

編集:
Genya Aoki
寄稿::
Michikusa Okutani
洪瑞珍
Photo: Akane Suzuki
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台湾ラバーと在留台湾人が歓喜するニュースが飛び込んできた。高田馬場に、「三明治(サンミンチー=台湾サンドイッチ)」の老舗「洪瑞珍(ホンレイゼン)」が、直営のテイクアウト店を2023年4月26日にオープンしたのである。

三明治とは台湾サンドイッチの現地語の呼び名だ。見た目は地味だが、台湾流にカスタマイズされていて、油断のできぬおいしさを秘めている。ゆえに「台湾サンドイッチ」ではなく、あえて三明治と呼んで親しみたい。

洪瑞珍
Photo: Akane Suzuki左から「全粒粉ハム」「満漢」「チョコ(期間限定品)」

現地では朝食の定番の一つで、町のあちこちにある庶民的な早餐店(ザオツァンディエン=朝食専門店)で、気軽に手に入れることができる。「麥當勞(マクドナルド)」に次ぐ台湾出店数を誇る「摩斯漢堡(モスバーガー)」ですら、朝に三明治を供しているほどだ。

そんな中で最も知られているのが、1947年に創業した洪瑞珍の三明治だ。創始本店は台湾中部の北斗にあり、台北など各地に枝分かれして、出店している。レトロな包装のかわいらしさも手伝い、食してとりこになった旅行者は数知れない。

洪瑞珍
Photo: Akane Suzuki

それもそのはず、洪瑞珍こそが三明治を生み出した店なのである。生みの親は洪宜杉(ホンイーシャン)。食糧難の時代に具材を極力減らしつつも味わい深いサンドイッチとして考案された。時代の必然が生んだミニマムの名作が、現代の食の嗜好(しこう)とマッチしたといえる。創始本店は洪宜杉の息子である洪峻聲(ホンジュィンシャン)が継いでいるが、洪宜杉も存命で今年94歳。存在そのものが創始店の証といえよう。

日本初の直営店舗

その洪瑞珍がついに日本に上陸。2022年に上野で開催された台湾カルチャーフェスティバル「TAIWAN PLUS」での試験販売では、2時間ほどで1000個完売の人気ぶりが注目を集めたこともあり、台湾ファンと在京台湾人の間ではオープン前から話題を集めていた。

洪瑞珍
Photo: Akane Suzuki

場所は名画座の「早稲田松竹」の向かい。赤いサンドイッチのマークが目印のスタイリッシュな建物だ。歴史も感じさせるシンプルながら、かわいらしい赤のパッケージは、従来は6個入りのみだったが、日本向けに4個用を新たに用意した。店員は全員台湾人で、オープンのため、創始本店で2カ月の研修を積んだ接客も心地よい。日本店にかける並々ならぬ思いが伝わってくる。

洪瑞珍日本代表の黃哲誠(ファンヂァチャン)によると「高田馬場はチャイニーズやタイワニーズが学生を中心に多く暮らしているため、台湾同様にデイリーユースもしやすいだろう」と同エリアに出店を決めたという。

洪瑞珍
Photo: Akane Suzuki

店はしゃれたカウンターの奥がキッチン。12時と15時と18時の3回、作り立ての三明治を店頭の冷蔵ケースに並べ、しっかり鮮度管理して販売する。

3層に分かれて挟まれた具材とパンの絶妙なコンビネーション

独特のコクともっちりした食感の食パンは、台湾に比べて乾燥しやすい日本の風土を考慮して、1年を費やして完成した特注品。これに薄いハムや、卵焼きなどシンプルな素材を特製マヨネーズ風ソースを絡めて挟み込む。パン・具・パン・具・パン・具・パンと、具が3層に分かれて挟まれているのが特徴だ。

洪瑞珍
Photo: Akane Suzuki

看板商品の「満漢(マンハン)」を見てみよう。中心にハムとチーズ。両側の層に卵焼き、いずれも特製マヨネーズを薄く塗り重ねてある。素朴極まりない。ひとかたまりになっており、これにがぶりと食らいつくのが現地の流儀。具材がそれぞれの味を主張しつつ口内で組み合わさり、食パンのうまみがそれを包み込む。パンと具材のバランスが絶妙で、初めて口にする人はきっと驚くことだろう。

洪瑞珍
Photo: Akane Suzuki

メニューは、満漢を筆頭に「ハム」「チーズ」「いちご」「ブルーベリー」のほか、パン生地をよりコクのある全粒粉にした「全粒粉ハム」と「全粒粉チーズ」という7種が基本で、限定の味も登場する。いずれも絶妙な組み合わせだ。いちご、ブルーベリーといったジャム系の三明治も、薄切りチーズを加えることで、甘さに塩味が加味され、うまくまとまっている。いずれも試してみる価値があるだろう。

洪瑞珍
Photo: Akane Suzuki

オリジナルの台湾茶もぜひ試してほしい。サンドイッチと茶、違和感のある組み合わせかもしれないが、マッチするよう調整されており、サンドイッチの後味をうまくまとめあげる、さっぱりした飲み心地が見事だ。爽快な「文山青茶」、コクのある「焙香烏龍茶」、フルーティーな「蜜香紅茶」の3種類を用意。いずれもおすすめの名脇役。常温か冷水をつぎ足せば、二煎分味わえるのもうれしい。

洪瑞珍
Photo: Akane Suzuki

キッチンカーによる日本全国巡回販売も進行中。三明治が日本のサンドイッチにどのような影響をもたらすのか、今後の展開に興味が尽きない。

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