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2024年2月15日、人生の終わりである「終活」をテーマにした日本初の「終活スナック めめんともり」が江東区森下にオープンした。ここでは、誰しもに訪れる老後や死についてオープンに語り合いたい、いざという時に支えてくれる人やつながりを見つけたいなど、終活についてさまざまな気持ちを持つ人が集う。
「死」というタブー視されがちなコンセプトを掲げる同店はどのような店なのか。実際に体験した様子をレポートする。
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入り口を抜け階段を上がると、ムーディーなバーカウンターが出迎える。ママを務めるのは、オーナーでもある海洋散骨の第一人者、村田ますみだ。「生きるを支え、人をつなぐ」をミッションに、あの世とこの世、日本と世界をつなぐさまざまな事業を展開。村田は終活アンバサダーとしても全国で活動を行っている。
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ドリンクは、江東区にある「深川蒸留所」のクラフトジン「FUEKI」や、メキシコの「死者の日」がモチーフになったテキーラ、ワインなどがラインアップ。そのほか、同店オリジナルシャンパンや近隣のブリュー居酒屋「ガハハビール」の商品などを提供する。
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フードは日本全国のローカル缶詰めを扱う専門店「カンダフル」が協力し、全国各地の珍しいご当地缶詰めを販売。人気のカレーのほか、ガトーショコラやお好み焼きなど、ユニークな品々が揃っている。出身地や思い出の地などを思い出しながら食べてほしい。
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同店の特徴といえば、棺おけが置かれているということだ。キャッチフレーズは「カラオケないけどカンオケあります」。バーカウンターの反対側には、韓国やスペインなどから取り寄せた小物が乗ったカラフルな祭壇スペースが現れる。葬送ブランド「GRAVE TOKYO」のショールームも兼ねており、世界にたった一つのオーダーメイド棺おけを展示。1,100円(税込み)でいつでも入棺体験が可能だ。GRAVE TOKYOの代表、布施美佳子は、同店のチーママを務めている。
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入棺体験では、スタッフが「今までありがとう」などと喋りかけながら花を手向けてくれる。棺おけのふたが閉まると、生きているのか死んでいるのか、なんとも不思議な気持ちになる。死者のみが入る棺おけという場所で、人生の終活について考えてみよう。
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ママやチーママ、客たちと談義を楽しんだら、最後に書いてほしいものがある。それは壁面に貼ってある付箋だ。ここには、来店者が「あなたの理想の人生の最後は?」という問いの答えを書いて貼っている。同店に来て死について考え、これからの生き方や考え方を考えてみてほしい。
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村田と布施は「真正面から死について考えるということは、『生きる』を考えるということだと思います。死について誰かと安心して話したい人はもちろん、かわいい棺おけに入ってみたい!など、興味本位でもいいので、ぜひ若い人にももっと来てほしいです」と話す。
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家や職場では、オープンに死について話すことは少し難しいという人が多いだろう。「サードプレイス(第3の場所)」として同店訪れ、さまざまな人の考え方や知識と触れ、人生の最後について勘案しよう。
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