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気軽に大陸を横断して別の都市で過ごす短い休暇。かつては当たり前に享受していたことだが、この15カ月の経験から、それが特別なことだったと学んだ人も多いだろう。
ロックダウンから徐々に抜け出し、海外旅行が(部分的に)再開されたとしても、ある別の問題が残っている。差し迫った「気候の緊急事態」だ。そう、飛行機が環境に与える壊滅的な影響は、罪悪感なく世界を再び飛び回る前に対処するべき問題なのだ。
この問題の解決に取り組んでいる、Hybrid Air Vehicles(HAV)という会社がある。同社は環境に優しい「飛行船」を開発することで、民間のフライトにおける二酸化炭素の排出量を従来よりも90%削減することを目指している企業だ。
100人乗りのディーゼルと電気のハイブリッド飛行船『Airlander 10』の試作機は、10年以上前に構想され、2012年には処女飛行に成功。この印象的である角度から見ると紛れもなく「お尻」の形をした飛行船は、長年にわたる微調整を経て、2025年に初期生産が開始される予定だという。HAV社では、同年に運航開始することも計画中だ。
運行開始時の飛行ルートとして、HAV社はリバプール〜ベルファスト(5時間)のほか、シアトル~バンクーバー(4時間強)、バルセロナ~パルマ(4時間半)、オスロ~ストックホルム(6時間半)などを想定。例えば、リバプール中心部とベルファスト中心部を結ぶ5時間のフライトの場合、乗客1人当たりの二酸化炭素排出量は、飛行機の場合は67.75キログラムだが、飛行船の場合は4.75キログラムになると試算されている。
エコノミークラスの真ん中の席で過ごす窮屈で不快な時間とは異なり、Airlander 10での旅はとても快適なものになりそうだ。初期のデザインを見ると、豪華なシートと床から天井までの大きな窓が特徴的。広々とした空間と自然光、そして眼下に広がる素晴らしい景色も楽しめるようになっている。
全てが計画通りに進めば、数年後には地球に対しての罪悪感なしに、快適で贅沢な海外旅行に出られるよう見込みだ。それに加え、王族のような気分を味わえる飛行船の旅が実現するかもしれないということにもワクワクする。
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