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舞台は1990年代のニューヨーク。2022年10月21日(金)から公開される「All the Streets Are Silent:ニューヨーク(1987-1997)ヒップホップとスケートボードの融合」は、2つの文化のクロスオーバーにより誕生し、今では世界的にメインストリームとなったストリートカルチャーに迫ったドキュメンタリー映画だ。
「白人の遊び」とされていたスケートシーンは、当時のラップ界には認められていなかったという。互いに抑圧されながらも距離があった二つの文化が交流をし始めたのは、バックグラウンドや人種、ジャンルを問わない若者たちの交流場、「クラブ・マーズ」のオープンだった。
音楽とパーティーを通して距離を縮めていったラッパーやスケーターたちは、グラフィティシーンから派生したスケートブランドの「ズーヨーク」や、巨大ブランドとなった「シュプリーム」を創設。両者は、あらゆる若者文化をのみ込みながら一つのカルチャーを形成していく。
同作は、次第にメインストリームへと拡大していったヒップホップとスケートボードの融合の歴史を、貴重な映像とキーパーソンたちの証言で振り返るドキュメンタリーだ。
メインポスターに使われているハロルド・ハンターは、ニューヨークのスケートカルチャーを世界に広げたラリー・クラークの映画「KIDS/キッズ」にも出演する伝説のスケーター。31歳の若さでこの世を去ったハンターの当時のインタビューや、同作の脚本を務めた若かりし頃のハーモニー・コリンの映像なども収録する。
そのほか、メソッド・マンやナズ、ノトーリアスB.I.G、無名時代のジェイ・Zなど、東海岸のヒップホップシーンを代表するラッパーたちの貴重映像にも注目したい。
本作が長編ドキュメンタリー映画デビューとなる監督のジェレミー・エルキンは、青年時代から数々のスケートビデオを撮影してきたという人物。ナレーションは、「ズーヨーク」設立メンバーの一人、イーライ・ゲスナーが務め、90年代のヒップホップ・シーンを代表するプロデューサー、ラージ・プロフェッサーが楽曲を提供する。商業化によって忘れられてしまったストリートカルチャーの本質。本作を観れば、その魅力を再認識できるはずだ。
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