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昨今、過去に前例のない規模の水害や土砂災害などが頻発し、防災に対する意識は強くなっているのではないだろか。東京都防災ホームページなどではハザードマップを公開している。しかし、2019年に発生した台風19号による都内の河川氾濫時には、アクセスが集中してしまい、目当てのページまでたどり着けなかったという人も多い。このためオフラインのマップがSNS上で拡散されるなど、アナログな防災マップの必要性が再認識された。
そんな需要に見事にマッチした防災マップふろしきを、芝浦工業大学の学生プロジェクト、『すみだの「巣」づくりプロジェクト』らが制作している。墨田区の避難経路や避難場所などが記載してある防災マップが印刷された『防災観光ふろしき』で、2021年8月2日からクラウドファンディングを開始した。
これは、墨田区の魅力を伝えつつ、災害から身を守る知恵を育むための防災学習の普及を目指し、特定非営利活動法人燃えない壊れないまち・すみだ支援隊や地域内外のボランティアなどと共同制作したもの。日常でふろしきとして使いながら非常時は避難の道しるべとなるほか、はっ水加工の布を使用しているので、いざという時はバケツや三角巾代わりなどに活用できる。
ほかにも日頃から防災マップを見てもらう工夫として、防災情報だけでなく、美術館や博物館など墨田区らしい観光、文化資源も記載するなど地域の魅力を詰め込んでいる。ふろしきのイラストは江戸の浮世絵師、葛飾北斎が絵手本として発行した「北斎漫画」をモチーフとしており、生活の必需品だったふろしきを使う様子も描かれている。
クラウドファンディングは、12月31日(金)まで墨田区の「すみだの夢応援助成事業」の採択事業として実施している。集めた資金を使って、区内小学生の卒業記念品に同ふろしきを配布する予定だ。墨田区へのふるさと納税として扱われるため、寄付金控除を受けることができるのもうれしい。
墨田区は昔ながらの木造家屋が多く残る下町風情あふれる街としての魅力を持っている一方で、一部地域は地震や水害による危険度が高いことや、高齢化に伴う住民と行政、企業などの連携不足も指摘されている。「防災観光ふろしき」を通じ、地域の防災を担う町内会と小学校など、さまざまな「つながり」を生み出すのもこのプロジェクトの目標の一つなのだそう。
今後は小学校だけではなく、中学生や高校生にも防災に関わるような働きかけをしていく。今一度、自分が住んでいる街の防災情報を知るきっかけにしてみては。
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