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約300人のクリエーターが参加、デザイナートトーキョー2021が開催中

10月31日まで、購入できる展示も

テキスト:
Time Out Tokyo Editors
『I am Nature』Perrier - Jouët & mischer’traxler
Photo: 'I am Nature' Perrier - Jouët & mischer’traxler
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DESINGART TOKYO(デザイナートトーキョー) 2021』が、2021年10月31日(日)まで開幕中している今年のテーマは「CHANCE! ~かつてないチャンス〜」だ。

渋谷や六本木、銀座など東京の84会場を舞台に世界中からデザインやアート、ファッション、フードなどさまざまなジャンルの約300人がプレゼンテーションを行う。本記事では、エリアごとに見どころの一端を紹介していく。

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Photo: Kisa Toyoshima

表参道、青山、原宿

クラウドファンディングサービスうぶごえと共に、市場に出回っていないクリエーターの貴重な作品を実際に目で見て購入できるイベント『KURADASHI ~発想の原型〜』では、秋山亮太や長坂常らの作品を展示している。

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Photo: Kisa Toyoshima

高品質なファニチャーをリリースし続けるイタリアのフレックスフォーム トーキョー(FLEXFORM TOKYO)では、2021年秋にミラノサローネで発表された新作家具を展示。さらに建築家の石田建太朗によるインスタレーションや、MAHO KUBOTA GALLERYがキュレーションした企画展『Velocity of Colours』も開催する。

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Photo: Kisa Toyoshima

『Velocity of Colours』では、アレックス・カッツ(Alex Katz)の作品のほか、小川信治の『Behind You』シリーズから15世紀の画家ピサネロ『エステ家公女の肖像』を参照した作品などが選ばれている。

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Photo: Kisa Toyoshima

GYRE FOODでは、デザイナートのオフィシャルシャンパーニュであるメゾン、ペリエ ジュエとコラボレーションしたオーストリアのデザインデュオ、ミシャー’トラクスラーインスタレーション『I am Nature』と『キュリオシティ クラウド』を展示する

ミシャー’トラクスラーは「自然」をテーマの中心に据えて作品を制作。『キュリオシティ クラウド』(2015年)は、木につり下げられた透明なグラスバルブの中に入っているハンドクラフトされた昆虫のレプリカは、人が近づくと動き出す。昆虫は誰もが知るものもあれば、最近発見された種や絶滅の危機に瀕している種、あるいは侵略的外来種などが共存しており、絶滅から新種の再発見までの生命のサイクルを強調している。

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Photo: Kisa Toyoshima

世界初公開となる『I am Nature』では約150種類もの生物を表現、バイオダイバーシティーの中での人間の位置付けに焦点を当てている。生態系における役割の平等性を強調するために、全ての種を同じスケールで表現するほか、鏡の前に立った人は人間ではなく、さまざまな植物や生物によってかたどられた『自然の姿(I am Nature)』が現れるという仕組みだ。

六本木

ピラミデにあるペロタン東京ではフランスのアーティスト、ジェイアール(JR)の展覧会『CONTRETEMPS』が開催中。記録写真を拡大して建造物に貼り付ける『Unframed』シリーズの中から2012年制作の初期作品を展示するほか、コロナ禍パリで制作された新作も見ることができる。

バレエシリーズは、ウィリー・ロニの写真『バスティーユの恋人』(1957年)に着想を得て、2021年初頭にオペラ・バスティーユの屋上でバレリーナのカップルを撮影した。

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Photo: Kisa Toyoshima

コロナ禍で立ち入れなくなったオペラのほか、『Unframed』シリーズで忘れ去られた鉱山の村などに歴史的な状況を暗示する写真を貼り付ける手法には、ジェイアールが建造物を新たな文脈に置き直して過去と現在の対話を切り開き、歴史の厚みについて考える機会を提供しているという。

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Photo: Kisa Toyoshima

こうした過去を参照する姿勢は、19世紀に過小評価されがちであったゴシック建築を探求し、JRと同じパリ出身のヴィオレ・ル・デュクを思い起こさせる。歴史に対して自覚的であろうとするアーティスト自身が、歴史に縛られているかのようだ。

30歳以下のクリエーターに焦点を当てたオフィシャルカフェのブルーボトルコーヒー 六本木カフェでは、新潟県燕市在住の金属工芸家キャスリーン・ライリー(Kathleen Reilly)の展示を開催中。

テーブルナイフの『Oku』は、はし置きなど本の伝統的な配膳の形を参照してデザイン、燕市のカトラリーメーカーと協力して制作した。刃の部分が持ち手に対して90度回転しており、ナイフ自体で自立する仕組みで、皿にも立てかけやすいため、衛生状態を気にしたくなるポストコロナ時代にも合っている。

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Photo: Kisa Toyoshima

なお同店では、DESINGART TOKYOの公式Instagramを提示すると、ドリンク1杯の注文で京都の都松庵とコラボレーションした『ブルーボトル 羊羹』のプレゼントもある。 

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Photo: Kisa Toyoshima

銀座

銀座では、サルヴァトーレ・フェラガモ銀座店での井村一登の展示『opticalverse』を観ておきたい。井村はハーフミラー、球体鏡、LEDなどを用いて視覚や認識に関わる光学的作品を手がけている。近年は、鏡の歴史とルッキズムに関心を寄せ、鏡の素材や技法を再構成し「自分が映らない」鏡も制作してきた。

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Photo: Kisa Toyoshima

フェラガモの『Autumn Winter 2021』のコレクションテーマである「FUTURE POSITIVE」とコラボレーションし、同店ショーウインドーでマネキンやアイテムなどと共に作品を展開。マネキンに鏡のマスクや盾を持たせたりする演出は、ギリシャ神話のメデューサを彷彿(ほうふつ)とさせ、井村の作品になじみがない鑑賞者にとっても「鏡」という装置の奥深さを教えてくれる。

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Photo: Kisa Toyoshima

「自分が映らない」鏡とは自分を見ないことをも意味するので、ルッキズムの極北のような装置でもあり、その試みの一環をハイブランドのショーウィンドウで見せることは、強烈な皮肉のようだ。

ほかにも、ギンザ シックス(GINZA SIX)では名和晃平の『Metamorphosis Garden(変容の庭)』も展示されている。吹き抜けの空間に設置されているので、見下ろしたり、見上げたりとさまざまな角度から作品を観ると、素直に楽しめるはずだ。

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Photo: Kisa Toyoshima

日比谷

明治期のレンガアーチを生かした施設、日比谷オクロジでは、フィンランドのテキスタイルブランド、ヨハンナ・グリクセンと京都の洛彩のコラボレーション『ヨハンナ・グリクセン×洛彩コレクション』やバッドブランド(bud brandなど9つの出展者が展示。バッドブランドでは、『ミラノデザインウィーク』に向けて選ばれた作品を含む14作品が並ぶ。

古来「嗅ぐ」ではなく「聞く」と表現されてきた香りにちなんで「こえ」の文字をかたどったお香『Kiku』(志水昭太、山本展久デザイン)や、フェイスシールドとして使えるうちわ『MINAMO』(井下恭介、増谷誠志郎デザイン)、積み木に年中行事にまつわる伝統的な文様を施した積み木『tsunagi』(小川陽香デザイン)など、それぞれに優れた着想や楽しみ方を提案する作品があふれている。

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Photo: Kisa Toyoshima

ほかにも、各エリアで多数の魅力的な展示が開催中だ。自分でエリアを回るプランを組み立てて巡ってみては。

『DESINGART TOKYO 2021』の詳細はこちら

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