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屋根に広がる森が出現「太宰府天満宮」の仮殿が3年限定で公開

設計は藤本壮介、御帳・几帳のデザインをMame Kurogouchiが担当

テキスト:
Time Out Tokyo Editors
太宰府天満宮
画像提供:太宰府天満宮
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福岡県太宰府市の「太宰府天満宮」が2023年5月23日(火)から「御本殿」の大改修を124年ぶりに開始。それに先立ち、改修期間の3年間限定で使用する「仮殿」の完成を発表した。

仮殿のデザイン・設計を担当するのは、大阪・関西万博の会場デザインプロデューサーも務める、建築家の藤本壮介率いる藤本壮介建築設計事務所。屋根に青々とした森が広がる独自のデザインで、天満宮周辺に広がる豊かな自然と一体化する仮殿としてのたたずまいを作り上げた。

太宰府天満宮
画像提供:太宰府天満宮

「設計の依頼をいただいてから2年以上の時を経ての仮殿の完成となります。太宰府天満宮の持つ長い歴史と伝統を受け止めることから始まり、現状案にたどり着くまでにさまざまな検討を積み重ねていきました。

1100年以上の歴史に現代建築が応えられるのかという大きな問いを前にして、自分の持つ全てを振り絞って設計にあたりました。3年という限られた期間ではありますが、道真公のための森のような屋根を通じて飛梅伝説や歴史と繋がったり、美しく豊かな自然を感じたり、ここに訪れる多くの人々の記憶に強く残るような、風景になればと思っています」(原文ママ)と藤本壮介は語る。

太宰府天満宮
画像提供:太宰府天満宮

仮殿のために仕立てられた御帳(みとばり)と几帳(きちょう)は、ファッションブランドのMame Kurogouchiが手がけた。現代の織機を用いながら、古代染色などの古来の手法と融合させたそれぞれの生地には、天満宮を象徴する梅の木や、境内で採集された梅と樟の枝、貴重な紫根を用いた古代染色が施されている。

デザイナーの黒河内真衣子は、境内にある巨大なクスノキの根本の穴で体感したインスピレーションをもとに「生命の景色」をイメージし、デザインに至ったという。

太宰府天満宮
御帳(画像提供:太宰府天満宮)
太宰府天満宮
几帳(画像提供:太宰府天満宮)

「図案や素材には天満宮を象徴する梅のモチーフのほかに、西高辻󠄀家の記憶を込めています。境内の中に特に大きな樟(クスノキ)の大木があります。落雷を受けて、根元に大きな穴があいているのですが、その穴の中に入らせていただいたことがあります。その際、西高辻󠄀さまも幼少期にこの大木の穴でかくれんぼをしていたという話を伺いました。

そんな時、突然雨が降ってきて、私はその中で雨宿りをしたのですが、まるで生命の膜に守られているような強い印象を抱きました。西高辻󠄀さまがその中で過ごした時間に想いを馳せ、その大木の中から見える景色と、天満宮全体を包む生命の景色を描きたいと思い、筆を走らせました」(原文ママ)と黒河もコメントを寄せた。

太宰府天満宮
画像提供:太宰府天満宮

全国天満宮の総本宮であり、「学問・文化芸術・至誠の神」として名高い太宰府天満宮。古くから時の文人や芸術家が時代の最先端となる作品を奉納し、「文化芸術の発信地」としての役割も果たしてきた。仮殿の一般参拝は5月14日から始まっている。3年間限定のこの機会に、ぜひ訪れよう。

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