[title]
全ての人を常に満足させることはできない、ということを端的に表している出来事が起きている。デイヴィッド・ホックニーがデザインしたロンドン地下鉄の駅名標について、一部の人が批判の声を上げているのだ。
ホックニーはおそらくイギリスで最も人気があり、国宝級の扱いも受けている画家だが、80代になっても彼の作品には、賛否両論が常。今回も、「うちの◯歳の子ならもっとうまくやれたのに」などというありがちな言い回しが聞こえている。
ホックニーが新しくデザインした駅名標は、再選した市長による『Let's do London』キャンペーンの一環として、ピカデリー・サーカス駅に登場。タイムアウトロンドンをはじめとする各メディアでも取り上げられたが、Twitterなどでは、あまり評判が良くない。
あるユーザーは、「(途中で駅名を書く)スペースが足りなくなった6歳児の作品のようだ」と酷評。また年齢についてはほんの少し寛容になり、「7歳の子どもが数本のクレヨンで作ったようなものだ」という意見もあった。
古いペイントアプリのようなタッチで、ほかの駅のためにホックニー風駅名標を考える人も出現。
嫌いだったものに慣れて、最後には好きになるかもしれないと、長い目で見ている人もいる(正直に言うと、これがおそらく正解なのだろう)。
意見はいろいろあるが、我々タイムアウトロンドンチームは、ホックニーの駅名標をとてもいいと思っている。楽しいし、カラフルだし、迎合していない。基本的にはそれがどうした、というものだ。
もっと言うと、もしヨークシャー地方出身のホックニーではない83歳のほかの誰かがロンドンの地下鉄でアートを発表する場合、アンチも取り込むようにクラウドファンディングか何かで資金を集めて展示を実現し、協賛しているタプロイド紙で称賛を浴びるという結果になるだけだろう。
互いに親切にしようと努力した1年間があったにもかかわらず、人間の集団的な懐疑心と怒りは健在だった。ある意味では、それを誇りに思い、感謝すべきなのかもしれない。
関連記事
『デイヴィッド・ホックニー、世界5都市の街頭ビジョンで作品を公開』