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ニューヨークでは今、深刻なクリームチーズ不足が起きている。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、常に大量のクリームチーズを必要としている市内のベーグル店でも、注文を断らなければいけない状況が続いているという。その原因は、ここ数カ月、アメリカのあらゆる産業に影響を与えているサプライチェーンにあるようだ。
プロスペクトハイツにあるOlde Brooklyn Bagel Shoppeのオーナー、フランキー・アサドは、「私はこの仕事を25年やっていますが、こんなことは一度もありませんでした」と驚きを隠せない。アサドはこの事態に対応するために、ストロベリー、ブルーベリー、クルミ、レーズン、カンノーロといった人気スプレッドの提供は減らし、プレーン、オリーブ、ネギといった伝統的なものをメインにし、やりくりしているそうだ。
ただ、それでも状況は厳しいため、量の調整も必要。アサド「お客さまにはベーグルにクリームチーズをこれまでのようにたっぷりではなく、ひと塗りだけになる旨を説明し、ほかのお客さまの分も確保するようにしています」と厳しい状況にあると教えてくれた。当然ながらクリームチーズの価格は高騰。アサドによると「普段は1ケース90ドル(約1万円)の50ポンド入りクリームチーズが、この前は4ケース買って726ドル(約8万2,000円)」だったそうだ。
ニューヨークのほとんどのベーグル店においてスプレッドの基本材料として使われているのは、加工やホイップがされていない業務用フィラデルフィアクリームチーズ。ほかの商品であれば、潤沢にあるのかといえばそれは違う。ここ数週間は、あらゆるブランドのクリームチーズが品薄状態にあるのだ。
こうした状況は、最近多くのベーグル店オーナーが経験しているが、その多くが明確な理由を把握しているわけでなない。「フィラデルフィアクリームチーズは国内製造。それだけでなくここ数カ月は、国外で作られた製品も手に入りにくくなっている。何が起こっているのかよく分からない」とアサドも首をかしげている。
食品流通会社Fischer Foods社の営業担当、フィル・ピザーノによると、このクリームチーズ不足の原因は、ずばりサプライチェーンの混乱。ニューヨーク・タイムス紙の取材に対し彼は、「クリームチーズが工場を出て、朝の人々が食べるベーグルに塗られるまでのサプライチェーン上のあらゆるポイントで問題が発生している」と説明している。その問題とは、コロナ禍による製造業の労働力不足、それに続くトラックドライバーの不足(ワクチンを接種し、働けるようになることに抵抗があるようだ)、包装資材の不足などだ。
日曜の朝、安心してベーグルを食べられるようになるためには、こうした問題を解決しなければならないのは明らかである。誰かすぐに解決策を見つけてくれないだろうか。
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