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吉祥寺に絵本・木のおもちゃ・オーガニック専門店「クレヨンハウス」が移転オープン

オーガニックレストランを併設、有機野菜の販売事業に重点

テキスト:
Tomomi Nakamura
Writer
クレヨンハウス
Photo: Akane Suzuki
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20221218日、表参道で人気を博した絵本・木のおもちゃ・オーガニック製品専門店「クレヨンハウス 東京店」が緑に囲まれたにぎやかな街、吉祥寺に移転・グランドオープンした。

クレヨンハウス
Photo: Akane Suzuki

同店は、作家の落合恵子が子どもも大人も、一人ひとりが自分であれる場を作りたい」という思いから、レストランを併設した子どもの本の専門店として1976年に立ち上げた。現在ではオーガニックレストランやオーガニックの野菜、おもちゃ、女性の本・雑貨まで扱う、多彩な店として知られている。

移転後も構成は変わらず、1階にはオーガニックマーケットとオーガニックレストラン、2階には絵本、子ども・女性の本、木のおもちゃなどの専門フロアを設置。地下1階には小さなギャラリーがあり、絵本作家・長谷川義史が描いた旧クレヨンハウスの絵などが鑑賞できる。

クレヨンハウス
Photo: Akane Suzuki

落合は、店内での「座り読み」を歓迎。「子どもが遊びながら過ごす時間の中で本を手に取ってくれたらいい」という考えのもと、創業当時から続く読書できる大テーブルと椅子を新店にも設置した。

クレヨンハウス
Photo: Akane Suzuki

移転先として選んだ吉祥寺は、落合が子ども時代に訪れていた親しみのあるエリア。以前から有機野菜の販売事業で農家と連携し、野菜を調達する仕組みを構築してきたこともあり、緑豊かで周辺に農地も多いこの街を選んだそうだ。

クレヨンハウス
Photo: Akane Suzuki

新店舗は、1階の入り口すぐの場所に、有機JAS認証を取得した国産の有機野菜やオーガニックフーズを扱う「野菜市場」を設置。ハーブやスパイス、パン、ナチュラルワインなどさまざまな食材をラインアップしているので、気軽にふらりと立ち寄って買い物が楽しめる。

クレヨンハウス
Photo: Akane Suzuki

冬場に注目したいのは、2月ごろまで期間限定で発売している100種以上のチョコレート。化学合成された乳化剤や添加物を使用していない商品だけを厳選しており、チョコレートが溶けない寒い時期のみ販売している。

クレヨンハウス
Photo: Akane Suzuki

ショッピングの合間に一息つきたい時は、「野菜市場」のすぐ隣にある「ケーキおばさん」のケーキやオーガニック食材を使った料理が楽しめるレストラン「広場」へ行こう。

クレヨンハウス
Photo: Akane Suzuki

アラカルトメニューのおすすめは、有機の旬の野菜と赤レンズ豆を使った優しい味わいの「ビーガンカレー」(1,540円、以下全て税込み)。ブラックマスタードシードやカレーリーフを利用し、香ばしさを生かした風味に仕上げている。有機野菜のサラダボールとピクルス付きなのもうれしい。

クレヨンハウス
Photo: Akane Suzuki

おやつの時間に訪れたら、絵本作家・五味太郎の名作「おばさんのごちそう」(絵本館)に登場する主人公をイメージし、名付けられたという「ケーキおばさん」の手作りケーキをオーダーしてみてほしい。無塩バターや有機小麦、旬のフルーツをたっぷり使った「フリュイ」(ホットドリンク付き1,252円)は、新鮮なフルーツと甘さ控えめのクリームや生地が見事にマッチ。ケーキに合うほどよい苦みの「オーガニックコーヒー」とともに、おいしいひとときを堪能しよう。

クレヨンハウス
Photo: Akane Suzuki
クレヨンハウス
Photo: Akane Suzuki

その奥には、オーガニックコットンを使用したインナーやアウター、布ナプキンをはじめとする生活雑貨やオーガニックコスメが購入できる「ミズ・クレヨンハウス」のエリアが広がっている。

クレヨンハウス
Photo: Akane Suzuki

2階には子どもの本を中心とした書籍、木のおもちゃが並ぶ。本は、子どもの本も大人の本も、平和や差別の問題など多岐に渡るジャンルを取り扱う。それは、できるだけ1人ひとりの選択肢を狭めないという、同店のモットーの表れでもある。

クレヨンハウス
Photo: Akane Suzuki

木のおもちゃは、子どもが誤って口に入れても危険性のない塗料を使用した物などをラインアップ。欧州連合(EU)加盟国共通の、おもちゃの安全基準を満たすことを証明する「CEマーク」を取得した商品を中心に販売している。

クレヨンハウス
Photo: Akane Suzuki

表参道店ではオーガニックコスメと同じエリアにあった、ジェンダー問題などをテーマとする大人向けの書籍は同階に移動した。3人の養子を迎えた同性カップルとその子どもたちの日常を描いた本「ふたりママの家で」(サウザンブックス)など、読み応えのある書籍ばかり。手に取って、ゆっくりと目を通してみてほしい。

クレヨンハウス

これまでも「書店はその街のお客さまと一緒に作っていくもの」と考え、時代や街のさまざまなニーズに合わせ、業態を変化させていった落合。新店舗では有機野菜の販売事業のほか、「農福連携」にも力を入れていきたいという。「障がいと言われるものがある人や居場所を求める子どもといった人々の力を取り入れることで、1人ひとりが自己肯定できる社会を作っていきたい」と意気込む。

多くの画期的な試みを打ち出し、訪れる人々の生活と心を豊かにしてきた名店「クレヨンハウス」。吉祥寺という街の空気に呼応し、どんな風に変化していくのか、これからも目が離せない。

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