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リニューアルが進む学芸大学駅高架下の新施設「ガクダイ パーク ストリート(GAKUDAI PARK STREET)」内に、カフェバーが併設された新刊書店「カウンターブックス(COUNTER BOOKS)」が2024年8月3日にオープンした。好奇心をかき立てる本と、世界各国の食や酒に出合える同店は、オープン後早くも街のハブになっている。
代表を務めるのは、カルチャースペース「路地裏文化会館シーネ(C/NE)」、飲食店「台湾屋台緑食区CHI-FO」を手がけた上田太一。人々の憩いの場であり、出会いがつながる現場となる店を手がけてきた。
学芸大学は、活気ある飲屋街としても知られているが、30〜40代の人々やクリエーターに人気の住宅街でもある。同店は、彼らの好奇心をくすぐり、知る、学ぶことを楽しめる学大の新しい顔になるよう「LOCAL CURIOSITY SHOP/まちの好奇心売り場」をテーマに掲げている。
これは、学大高架下リニューアルの企画にも関わる中、シーネでたびたび店の常連や街の住民とともに「どんな店が街にあるとうれしいのか」を語り合った結果でもある。「結局、この街を一番よく知るのは実際に住んでいる人たち。そんな街のみんなが欲しい場所を作りたかった」と上田は語る。
日常を根底から見つめ直したくなるようなユニークな選書
店内に入ると、工場の足場をはわせ、板を敷いて作った本棚に並べられた2000冊以上の本が目に入る。食べること、働くこと、生きること、環境、政治、アートなど、日常を取り巻く身近な存在に対し、改めて根底から見つめ直すきっかけとなるような本が揃う。どれも思わず手を取りたくなるようなラインアップだ。
学芸大学の人気国際料理店「ハン(HÅN)」の口尾麻美や、食料品店「フードアンドカンパニー(FOOD&COMPANY)」の共同代表、バイ・ビン(白冰)と谷田部摩耶など、この地で活躍する顔ぶれの選書企画もあり、地域と人々のつながりが感じられる。
世界の食文化を味わう
温かなえんじ色のカウンターでは、昼はコーヒーや紅茶、夜は蒸留酒をメインに提供する。さらに昼どきは、「チーフォ」の店長、キクタローが考案したランチを用意。メニューはどれも、世界各国の食文化からインスパイアされている。
特にポルトガルのB級グルメとして知られる「ビファーナサンド」が絶品なので、食べてほしい。トマト、ビール、「マッサ・デ・ピメント」という赤パプリカのペーストで煮込んだ豚肉を、もちもちのチャバタに「汁だく」で挟む。コクがありながら、重過ぎずさっぱりとした味わい。サイドにケールサラダとパクチーの香るヒヨコ豆のサラダが付いており、ワンプレートで何種もの野菜がとれるのもうれしい。
蒸留酒をメインとしたバータイムは、18時にスタートする。店長の井上麻子のいちおしは、松露酒造の芋焼酎「Colorful」をベースに、抹茶とユズのシロップを合わせた和テイストなカクテル「フィロソフィー」。涼しげな酸味に、アールグレイを思わせる焼酎の香りが後を追う。体温をぐっと下げてくれる、夏場にぴったりな一杯を楽しんでほしい。
バーか書店、単体で利用するのもいいが、隣で購入した本をつまみに、カウンターでほろ酔い気分で友人と語らえば、すてきな夜になること間違いなしだ。
「売っているのは、好奇心」。上田や井上がそう口を揃えるように、気がつけば童心に返り、「知ること」を楽しめる、そんなありそうでなかった書店である。世の中はまだ、私たちが知らないことでいっぱいだ。こんな店が学芸大学にできて良かった、と心から言いたい名店である。ぜひ訪れてみてほしい。
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