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国内外でバーを運営するSGグループが「カクテル居酒屋」という初の業態となる店舗、ゑすじ郎(SG LOW)を2021年2月10日(水)にオープンした。世界大会優勝経験を持つバーテンダーであり、同グループの代表である後閑信吾は、「SGグループが居酒屋を手がけたらどうなるか」という命題を、内装やメニューに落とし込んだという。
「バーに寄せた居酒屋、もしくは居酒屋の中にバー要素があると考えていただくといいかもしれません」(後閑)
同店は、2020年の『The World’s 50 Best Bars』で世界第10位を獲得した エスジークラブ(The SG Club)、2020年6月にオープンしたベルウッド(The Bellwood)に続く、SGグループの国内3店舗目。本格的なバーである。
エスジークラブとベルウッドではバーフードを提供しているが、「食事をしながら飲みたい」「腹にたまる料理を食べたい」という希望が多いということもあり、居酒屋スタイルの店舗のオープンに至った。
2店は徒歩3分ほどの場所にあり、「今後は空腹というお客さんがいらっしゃれば、『ゑすじ郎』をご案内できますし、おなかがいっぱいになったお客様に2軒目としてエスジークラブへご案内できます(笑)」と後閑。
ニューヨークのストリートカルチャーの中心であるイーストビレッジからインスパイアされたという内装は、時間や場所を感じさせない設え。少しアルコールが入ったら、自分がどこにいるか分からなくなりそうだ。
「内装をシンプルに仕上げた分、アートにこだわりました」(後閑)と、それこそニューヨークのダウンタウンのギャラリーで出合えそうな絵画や、コイが滝を昇ってリュウになる姿を表現したオブジェが目を引く。
お通しはなんとマティーニ。通常提供するものよりアルコール度は下げているというが、個性的、かつクオリティーの高いカクテルで名をはせるSGグループらしい試みだ。
もちろん自慢のカクテルもオンメニューしている。ワインは自然派と国産のものに絞った。ビールは日本産のホップを使った、サッポロビールの「ソラチ」の生を用意している。SGグループの店で、生ビールが飲めるのはここだけ。
居酒屋のドリンクの定番であるレモンサワーにも、とことんこだわった。後閑が「恐らく世界で一番手間のかかったレモンサワーを提供しています」と語っており、取材時(プレオープン中だった2月上旬)の段階で11種類ものラインアップ。今後さらに増やしていく予定だ。
『本気のレモンサワー』(900円)は、バーで楽しめるという新しいコンセプトで作った、オリジナルの本格焼酎『The SG Shochu(KOME)』と、自家製のオーガニックのレモンコーディアルシロップを合わせ、すっきりとした甘みがあるが決して甘過ぎない絶妙な味わいに仕上げている。
食事メニューも、後閑が「スタッフとの会話を楽しんでいただきたいと思っているので、『これ何ですか』と聞きたくなるようなメニューをそろえた」と語るように、居酒屋の定番メニューにエスプリが加わったものが並ぶ。
『ホッケの代わり』(1,000円)は金華サバ、すでに名物メニューとして君臨している『雲丹とボーンマローの混ぜ麺』(2,200円)、お好み焼きと見紛うこと請け合いの『お好み焼きフライドポテト』(800円)など、気になるものばかり。
ほかのどの店にも似ていない、SGらしさにあふれる居酒屋が誕生した。
テキスト:長谷川あや
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