ニュース

7月3日から開催、「CLAMP展」でしかできない5のこと

原画総数800点、活動35周年を記念した史上最大の展覧会

テキスト:
Genya Aoki
CLAMP展
Photo: Kisa Toyoshima
広告

「CCさくらに人生を狂わされた」とは、インターネットに数多あふれるキャッチーな作品賛辞の1つだが、あながち誇張ではなく、「CLAMP作品」に心震わせ、人生における価値観を大きく変えた人は多いだろう。

いぶらし寒月、大川七瀬、猫井、もこなの4人組で活動する創作集団「CLAMP」が描くキャラクターはとんでもなく多様性に富んでおり、そのタッチは作品の世界感に合わせてガラリと変わる。少女漫画から少年誌、青年誌、アニメーションのキャラクターデザインなどのコラボレーションまで、多彩なジャンルでその才能を発揮するという変化をいとわない挑戦的な姿勢も、他の追随を許さない境地まで突き抜けている。

CLAMP展
Photo: Kisa ToyoshimaMAGICエリア

そんな、日本漫画界の宝であるCLAMP。今年で活動35年を迎えるのを記念して、乃木坂にある「国立新美術館」で、CLAMP史上最大規模の個展が2024年7月3日(水)から開催される。同展は、1989年の商用デビュー作「聖伝-RG VEDA-」から最新作「カードキャプターさくら クリアカード編」までの23作品を網羅し、約800点ものカラー・モノクロ原画が一堂に会するまたとない機会だ。

会場では、7つのテーマから創作の歩みを振り返る。まず中心となるのは、CLAMPの頭文字にちなんだ「COLOR」「LOVE」「ADVENTURE」「MAGIC」「PHRASE」という5つのテーマで作品の世界をたどる展示。そのほか、「IMAGINATION」では、漫画以外の活動を含む画業を、「DREAM」では本展描き下ろしのカラーイラストをそれぞれ紹介している。ここでは、同展の見どころとともにCLAMP作品が持つ魅力を5つにピックアップして紹介しよう。

CLAMP展
Photo: Kisa Toyoshima

1. 絵柄から作品世界に没入する。

第1エリアのCOLORでは、連載の扉絵、雑誌の表紙や付録、単行本の表紙や口絵などのために描かれたカラーのイラストレーションが約200点並ぶ。

CLAMPの作画は、作品の世界感に合わせて大きく絵柄が変わることで知られている。例えば「東京BABYLON」では、ビビッドなカラースクリーントーンを多様し、1980年代のシティポップのジャケットのような印象を与える。「カードキャプターさくら」では、ルマカラーと呼ばれる透明感のあるカラーインクを使用することで柔らかな絵柄へと、印象を一変させた。

上記のように同エリアでは、一つ一つの作品に対して使用された画材や狙いなどの解説が付いており、作り上げてきた世界感とその変遷を原画を通してひも解くことができるのだ。

CLAMP展
Photo: Kisa Toyoshima

2. 多様な愛の形に心震わせる。

CLAMP作品の特徴といえば、年齢・性別・国・立場などから生じる既成概念に全くとらわれないさまざまな愛の形を肯定している点だろう。「多様性」といった言葉が今ほど叫ばれていなかった時代から、多様な愛を描く先駆者だった。

「カードキャプターさくら」の大道寺知世と木之本桜、佐々木利佳と寺田良幸、「X -エックス-」の桜塚星史郎と皇昴流など、新たな扉を開く機会が無数に用意されている。

CLAMP展
Photo: Kisa Toyoshima

そして、その愛し方や関係自体は決して否定されない。残酷な宿命に翻弄(ほんろう)され、引き裂かれることはあってもそこにあるのは運命的なドラマであり、世間の目などではないのだ。

CLAMP展
Photo: Kisa Toyoshima

同展のLOVEエリアでは、8つのカテゴリーに分類された「愛」のシーンを、多様なモロクロ原画を通じて存分に感じることができる。お気に入りの名シーンもきっと見つけることができるだろう。

CLAMP展
Photo: Kisa Toyoshima

3. 衝撃の展開を追体験する。

ADVENTUREエリアは、CLAMPならではのストーリーテリングの力を紹介している。代表作である「聖伝-RGVEDA-」「東京BABYLON」「魔法騎士レイアース」「X-エックスー「カードキャプターさくら」「ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE-」の6作品の原稿が、350点以上展示する。

熱心な読者なら、象徴的な1コマから衝撃を受けたシーンをいくつも想起することだろう。時に過酷で残酷な運命を描きながらも、繊細さと優しさも決して取りこぼさない。何よりも、強い意思と覚悟の力で確かな希望を映し出す極上の物語の一端に触れられるのだ。

CLAMP展
Photo: Kisa Toyoshima

幸運にもまだ作品に触れたことがない人は、この機会にぜひ作品を手にとってみてほしい。同展では、試し読みコーナーも用意されており、代表作の1巻を同館内で楽しめる。

CLAMP展
Photo: Kisa Toyoshima

4. 名セリフで展示に参加する。

「絶対だいじょうぶだよ」(カードキャプターさくら)に代表されるような名言が、CLAMP作品には多数存在する。PHRASEエリアは、そんな言葉の力にフォーカスしている。

CLAMP展
Photo: Kisa Toyoshima

独創的なフレーズの数々がちりばめられた体験型展示になっており、参加者は、名言が書かれたシールの入った箱から好きな一枚を取り出し、壁面に貼ることができる。

CLAMP展
Photo: Kisa Toyoshimaシールが入った箱
CLAMP展
Photo: Kisa Toyoshima

箱に入っているシールは、23作品の中から複数抜粋されており、どんなセリフを引くことができるかはその時のお楽しみ。貼って展示に参加してもいいし、記念に持ち帰ってもいい。ぜひチャレンジしてみてほしい。

CLAMP展
Photo: Kisa Toyoshima

5. 巨大なCLAMP年表で35年間のクリエーティブを総覧する。

IMAGINATIONエリアでは、CLAMPがこれまでに生み出してきた35年の軌跡をたどる。中でも、コミックスや雑誌のインスタレーションという形式で作られた巨大な「CLAMP年表」は圧巻だ。

CLAMP展
Photo: Kisa Toyoshima
CLAMP展
Photo: Kisa Toyoshima

いかにコンスタントに作品を発表し続けてきたのか、漫画だけではなく、さまざまなメディアで活躍しているのかを、使用画材、アニメのキャラクター原案スケッチなど、本邦初公開を含む貴重な資料から知ることができる。

CLAMP展
Photo: Kisa Toyoshima

また、CLAMP作品と縁の深い声優・福山潤による音声ガイド(800円、以下全て税込み)も必聴だ。同展のために製作された「箔押しトランプ」(2,970円)、モコナやケルベロスの記念ぬいぐるみ(3,300円)などのグッズも見逃せない。

CLAMP展
Photo: Kisa Toyoshima

会期は9月23日(月・祝)まで。料金は前売り1,900円、大学生1,200円、高校生800円/当日2,100円、大学生1,400円、高校生1,000円、中学生以下無料。なお、7月3日(水)〜5日(金)は、開幕記念限定チケットを持っている人のみの入場(完売)となるので、注意してほしい。

CLAMPファンはもちろん、知っていたが深く知る機会がなかった人もぜひ、これを機に足を運んでみてほしい。

©CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD.
©CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD./CLAMP展製作委員会

関連記事

CLAMP展

「ジブリパークとジブリ展」最速レポート、天王洲・寺田倉庫で開催

東京、7月に行くべきアニメ展示5選

東京、7月に行くべき無料のアート展8選

国際アートフェア「Tokyo Gendai」で注目するべき10人のアーティスト

東京の最新情報をタイムアウト東京のメールマガジンでチェックしよう。登録はこちら

最新ニュース

    広告