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芸術家集団Chim↑Pomが常設ショップ「金三昧」を渋谷パルコにオープン

1,500円の千円札など資本主義とアート市場の力学を問う商品を開発、販売

編集:
Genya Aoki
テキスト::
Runa Akahoshi
金三昧・KANE-ZANMAI
Photo: Runa Akahoshi
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2022年11月3日、アーティスト・コレクティブ「Chim↑Pom from Smappa!Group」が、実験的な商品を開発し、販売するプロジェクト「金三昧・KANE-ZANMAI」の常設ショップを渋谷パルコ」にオープンした。金三昧・KANE-ZANMAIは同年夏に渋谷パルコの1階で1週間のポップアップショップ「無人販売所」を開店し、SNSを中心に注目が集まる中、惜しまれながらも会期を終了したものだ。パルコ4階の大規模リニューアルに併せて待望の常設店舗となった。

金三昧・KANE-ZANMAI
Photo: Runa Akahoshi

同店は資本主義とアート市場の力学を問うショップである。美術作品が、通常の「商品」と比較して高額で取引されがちな慣習に対して、あえて「作品」と「商品」どちらも取り扱うことで、「どのようにアートの価値は創出されるのか」「商品と作品の境界線はどこにあるのか」といったことを展示および売買を通して探っていく。

金三昧・KANE-ZANMAI
Photo: Runa AkahoshiChim↑Pom from Smappa!Group エリイ

ショップは単管などを什器に用いた作業場のような仮設的な空間だ。これは、デザイン・設計事務所「ダイケイミルズ(DAIKEIMILLS)」を中心に立ち上げた社会プロジェクト「SKWAT」とグラフィックデザイナーの加瀬透が共同で手がけている。

金三昧・KANE-ZANMAI
Photo: Runa Akahoshi金三昧クレーンゲーム

店内には、壁面から天井に至るまであらゆる場所に商品が並んでいる。中央に木製ブランコが鎮座しているほか、隅で異様な雰囲気を発してるのは「金三昧クレーンゲーム」(無料)。中身が日々変化し、何が吊れるかはその時になるまで分からない。取材当日は旧渋谷パルコの外壁ガラを販売。訪れた際には必ずチェックしてほしいマシーンの一つだ。

金三昧・KANE-ZANMAI
Photo: Runa Akahoshi「エンボス入り1,000円」

壁面には「エンボス入りの1,000円札」(1,500円、以下全て税込み)が展示されている。もちろんこれも商品。一見して誰が買うのかと疑うようなナンセンスな品だが、同時に使用価値そのものを問うてもいる。正に同店ならではの実験的な商品と言えるだろう。

金三昧・KANE-ZANMAI
Photo: Runa Akahoshi「カットよっちゃん」

同じく「よっちゃんイカ」の愛称で人気の駄菓子屋「カットよっちゃん」の姿も。こちらは、なんと中身がなく、ちぎれた外装のみ。しかも、ちぎれた小さい外装(100円)、片割れの大きな外装(100円)と別々に販売している。

Chim↑Pom from Smappa!Groupのメンバーであるエリイに同商品について聞くと「これはちぎっちゃいました。それぞれを友達と持つのもいいのかなって」と語る。そう説明されてみると、「いいかも」と思えてくるから不思議だ。

金三昧・KANE-ZANMAI
Photo: Runa Akahoshi「ELLIE KANE-ZANMAI Long Sleeve T-Shirt」
金三昧・KANE-ZANMAI
画像提供:Smappa!Group金三昧ネズミの刺繍ワッペンの「KANE-ZANMAI EMBLEM」

Chim↑Pom from Smappa!Groupのオリジナルアイテムも必見だ。「ELLIE KANE-ZANMAI Long Sleeve T-Shirt」(8,250円)はエリイのコラージュTシャツで、左袖に金三昧ネズミの刺しゅうワッペンが付いている。そのほか、エリイオリジナルフォトプリントと金柄の枠デザインやロゴが刺繍で施されたた高級感のあるパーカー、「ELLIE KANE-ZANMAI HOODIE」(1万9,800円)などを提供している。

金三昧・KANE-ZANMAI
Photo: Runa Akahoshi

エリイは「店にあるものはどこからどこまでが売り物なのかと思うだろうけど全部(什器除く)売ってます。遊びに来るような感じで来てほしいです」と笑顔で語る。商品は都度新入荷されていくので、何度訪れても楽しめるだろう。思いも付かないものにも値札が付いている同ショップで、自分の中の「アートの価値」を見つけてみては。

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