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京都の「祇園祭」、飛騨の「高山祭」とともに「日本三大曳山祭」の一つに数えられる「秩父夜祭」が、2024年12月2日(月)・3日(火)に開催される。クライマックスには花火が打ち上がり、6基の山車が急坂を上り御旅所(おたびしょ)へ向かう。2016年に「ユネスコ無形文化遺産」に登録された、日本を代表する冬祭りである。
同祭りは秩父の総社である「秩父神社」の例大祭だが、祭りの起源は神社創建前の2000年以上前にさかのぼるといわれている。現代に続く祭りの礎は、江戸時代に形成されていった。秩父は絹織物が盛んな土地で、神社の近くに市が立てられた。そこに絹商人たちが集まり、
江戸時代には、宗教的な夜祭りは風紀を乱すとして禁止された時期があったが、その間も秩父の6地区は地区を変えながら祭りを存続。この6地区が、すなわち今日の6つの山車に通じる。華やかな祭りの中にお上に屈しない心意気を知れば、秩父夜祭は一層輝きを増す。
17〜18世紀に始まったといわれる山車は、2基の笠鉾(かさぼこ)と4基の屋台で構成される。いずれもくぎを使用せず、装飾品の取り付けを麻縄で締結するなど古い工法で組み立てられ、解体もできる。また屋台は歌舞伎の舞台と同様、場面転換で使われる「廻り舞台」を有し、歌舞伎などを演じられるようになっているのが特色だ。
宵宮が行われる2日、秩父神社に入場した屋台は神門にあいさつし、舞台では女児が見事な舞を披露する。神社を出発してからも町中でこの「曳き踊り」や「屋台芝居」が行われ、同祭りの見どころになっている。
「夜祭」とあるが、行事は日中から始まる。特に3日の本祭の御旅所への渡御ともなると、交通規制がなされ、黒山の人だかりでごった返し、容易に身動きも取れなくなってしまう。国の重要有形民俗文化財に指定された笠鉾や屋台、芝居や踊りを観覧するなら、昼から出かけたい。
また、秩父神社の神楽殿でも例大祭の両日、国重要有形民俗文化財指定の「秩父神社神楽」が鑑賞できる。
山車が団子坂を上り御旅所に入っていくのを目にできるのは、有料観覧席からのみなので、夜は山車と花火の共演を楽しむのがいいだろう。江戸時代から連綿と続いてきた夜祭りのにぎわいを感じながら澄んだ冬空に打ち上がるスターマインは、胸にしみる美しさだ。
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『秩父夜祭』
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