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武蔵野美術大学美術館・図書館で2022年7月11日(月)から『みんなの椅子 ムサビのデザインⅦ』が開催される。同館では、1967年の開館以来、コレクションの柱の一つとして近代椅子を収集してきた。その数は400脚を超え、国内有数の規模を誇る。本展は同館初の試みで、この中から精選した約250脚の近代椅子を1、2階の全フロアに展開。コレクションの全容を紹介するとともに、近代椅子デザイン史を俯瞰(ふかん)する。
同展では一部展示品を除いて、ほとんどの椅子に座って楽しめる。会場内に並ぶ一脚一脚の椅子には、素材や技術をはじめ時代、地域、思想の背景がある。これらの椅子を座り比べることで、それぞれの特長とデザインの変遷を体感する絶好の機会になるだろう。
また、デザインの歴史的変遷を軸に、近代以前から現代に至るまでの椅子を全10章に分けて展覧。近代椅子デザインの源流となった椅子に始まり、20世紀を中心に各時代、各地域、各デザイン潮流のもとで産み出された名作椅子群、そしてそれらの名作からさまざまな影響を受け、今なお製造されている椅子までを通覧できる。
曲木技術の発明者として知られるミヒャエル・トーネット、ル・コルビュジエ、ミース・ファン・デル・ローエ、アルヴァ・アアルトといった国際様式を代表する建築家たちによる名作をはじめ、20世紀中頃アメリカでチャールズ・イームズやエーロ・サーリネンらが新技術や新素材を取り入れ、次々と開発したミッドセンチュリーの世界など、多様な文脈からひも解いていく。
このほか、20世紀のイタリアでデザイナーによるアイデアが最優先されることで産み出されたオリジナリティーあふれる製品や、日本のポストモダンをけん引した倉俣史朗が手がけたものなども並ぶ。世界各国の自由な思想を取り入れた椅子たちをたっぷりと観賞してほしい。
展覧会に先駆けて、特設ウェブサイトを開設している。同展の監修者である寺田尚樹による椅子の解説動画や椅子に関わるさまざまな人のインタビューなどの多様な動画コンテンツを随時アップロードしていく。また、単なる家具にとどまらず、時としてさまざまな情報を帯びた「メディア」としての機能を持った名作椅子に着目した映像なども、同展の会場内と連携して展開する。
さらに、椅子の画像と詳細な情報、そしてその関連性や時間的な広がりをユーザーがインタラクティブに体感できるシステムを制作し、オンライン上に展覧会場と地続きの空間を構築。展覧会終了後もコンテンツを継続して更新し、椅子に携わる人や椅子を大切にする人に利用される椅子のポータルサイトとしての在り方を模索していくそう。
会期は前後期に分かれており、前期が7月11日(月)〜8月14日(日)、後期が9月5日(月)〜10月2日(日)。美術館展⽰室1・2・4・5とアトリウム1・2などで12〜20時(土・日曜・祝日は10〜17時)に開館する。入館は無料だが、水曜は休館なので注意しよう。めくるめく近代椅子の世界へ浸ってみよう。
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