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2018年、日本に「バスクチーズケーキ旋風」が巻き起こったのを覚えている人も多いだろう。ベイクドでもスフレでもない、唯一無二のチーズケーキがチーズスイーツ好きをとりこにし、「バスクチーズケーキ」という商品はコンビニエンスストアにも並ぶようになった。
そんなバスクチーズケーキに熱くなった人々に朗報。日本でのバスクチーズケーキの火付け役、ガスタ(GAZTA)の新店が2021年6月18日(金)、白金に誕生するのだ。店名は、カーサ デ ガスタ(CASA DE GAZTA)。シェフパティシエを務めるのはガスタと同じく戸谷尚弘で、同店では美食家に愛されるレストラン、エルカノの食後のデザートとして親しまれる「出来たてのチーズアイス」が主役となる。
エルカノとは
エルカノは、スペインはバスク地方のゲタリアという港町にある1964年創業のレストラン。世界中の美食家たちが訪れる店としても知られるミシュラン星付きの名店で、丸ごと炭火で焼いたカレイをはじめとした、数々の魚介料理がフーディーたちの舌をうならせている。
今回、エルカノのチーズアイスを実現させた戸谷も同店の料理に魅せられた一人。なかでもデザートのチーズアイスに感動し、それは食べた記憶を頼りに自力で再現しようと試みたほどだったという。
理想の味を再現しようと試行錯誤を繰り返したが、もちろんそれは簡単なことではない。しかし戸谷は、ひょんなことからチーズアイスのレシピを手に入れることになる。エルカノで食事をしていたある日のこと、シェフが半地下に設置されている水槽を見せてくれることになったのだそう。予想以上に気さくな人柄だったので「もしかしたらチーズアイスのレシピを教えてくれるかもしれない」とダメ元で尋ねたら、なんと快く厨房(ちゅうぼう)に招き入れてくれ、レシピから使っている機械まで、製法を親切に教えてくれたのだそうだ。
チーズアイスのためだけに開発されたフロマージュブラン
「これで日本でもエルカノのチーズアイスが作れる」、そう意気込んだ矢先、今度はエルカノで使っていたチーズを日本では輸入できないという壁にぶつかってしまう。それでも、日本でこのアイスを提供したいといろいろなチーズを試し、その末にたどり着いたのが北海道にある美瑛放牧酪農場。約1年間をかけ、チーズアイスのためだけのフロマージュブランを共同で開発した。実際に農場を訪ねたのはもちろんのこと、東京に戻ってからは試作のチーズを送ってもらい、酸味やコクのバランスなどをフィードバック。こういった細やかなやりとりを何度も繰り返しながら完成したのが、アイスに用いられている特別なフロマージュブランだ。
『ゲタリアイス』と名付けられたこのチーズアイスの特徴は「出来たて」であること。アイスクリームというと、冷凍されていた商品が提供されることが多いが、ここでは長時間保存はされない。専用のマシーンから取り出された、作りたてのアイスクリームを楽しめるのだ。
また、チーズアイスと聞くと印象として「濃厚さ」が先立つかもしれないが、ヨーグルトのような爽やかな酸味の後にミルクのコクが感じられる同店のチーズアイスは、濃厚ながらもさっぱりした味わいで暑い日にもぴったり。この奥行きのある味わいも、出来たてだからこそ感じられるものだろう。
第2のバスクチーズケーキ?
そしてもう一つ、「第2のバスクチーズケーキ」と呼ばれる『カーサ デ フォンデュ』も忘れられない。これは、エルカノとはまた違うバスク地方のレストランで「とろけるチーズケーキ」を出す店があり、そこからインスピレーションを受けて完成したオリジナルメニュー。とろっとした食感はもちろんのこと、隠し味のブルーチーズが良いアクセントとなった大人の一品だ。
店内の席数は、カウンター5席にテラス席が3席とやや少なめのため、入店までに時間がかかる可能性も高いかもしれない。しかし、時間がない人も気を落とさないでほしい。『ゲタリアイス』はテイクアウトでも購入できるので(テイクアウト価格は750円)、もし店内に入れなかった場合は目の前の公園で楽しもう。この奥深い味わいを一度体験したのならば、今年の夏はきっと『ゲタリアイス』に熱くなるはずだ。
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