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個人の脳波を買い取り絵画にするイベント「BWTC Trade Week」が開催

「アーツ千代田3331」で開催、100秒1,000円で脳波を買取

編集:
Genya Aoki
寄稿::
Yukiko Yamamoto
BWTC Trade Week
Photo: Yukiko Yamamoto
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脳波を絵画にして、買い取ってもらうイベント「BWTC Trade Week」が2022年7月30日(土)〜8月7日(日)、千代田区の大型アートスペース「アーツ千代田3331」で開催される。世界初の脳波買取センター「BWTC」で、自分が考えていることをデータとして提供できる、いわば「近未来的ドナー」体験だ。

BWTCは、アーティストらのコレクティブ(集団)「コネル(Konel)」の新たな取り組みで、独自に開発した脳波を絵画に生成するプログラム。

BWTC Trade Week
Photo: Yukiko Yamamoto

BWTC Trade Weekの会場は、「未来の会社」をコンセプトにした真っ白なスペースで、期間中は誰でも入場できる。部屋の中には、ちょうど飲料の自動販売機ほどの大きさのオリジナルデバイスの「脳波自買機」が設置されている。街角に置かれた自販機を利用するように、日常的に脳波を提供できるような未来の社会をイメージしたという。

BWTC Trade Week
Photo: Yukiko Yamamoto脳波計

脳波を絵画化する手順は、まず脳波を提供することに同意し、名前のイニシャルや、何を考えるかをアルファベットで入力して、カチューシャのような脳波計をおでこに装着する。そして100秒間、1つのことを集中して考えるだけだ。高尚なことを考えたからといって高値になるわけでもないし、ただただ暑いと思っていても買取金額は一律100秒1,000円だ。

BWTC Trade Week
Photo: Yukiko Yamamoto筆者の脳波、夕食のカレーについて考えていた

読み取られた脳波データは、独自のアルゴリズムを使って即時に絵画に変換。脳波というと、医療ドラマなどで見たことのある波形グラフを思い浮かべるが、絵画はそれとは違う趣で縦線の濃淡などで、描かれた作品に仕上がっている。

BWTC Trade Week
Photo: YukikoYamamoto

100秒後、10枚の100円玉が支払われる。「チャリンチャリン」と音がするので、換金されたことがよりハッキリと実感できるだろう。レシートには絵画になった脳波や「QRコード」がプリントされている。700円で大きなトレーシングペーパーに印刷して持ち帰ることも可能だ。また、自身の脳波絵画の受注販売も行っている(額装などに時間がかかるので、別途申し込みが必要)。

BWTC Trade Week
Photo: Yukiko Yamamoto

場内には提供者の人数や買取総額のチェックカウンターを設置。上限は100万円で、到達後も作品の展示即売会は続ける。場内には展示スペースがあり、事前に制作された6点が観賞できる。一際目を引く大作は、子どもが進化について考えた作品。眺めているうちに、情景やインスピレーションが浮かぶかもしれない。

BWTC Trade Week
Photo: Yukiko Yamamoto

コネル代表の出村光世はBWTCのキーワードとして、「不透明なデータの価値」と「脳波計の大衆化」を挙げる。スマートフォンやウェアラブル端末が普及して、暮らしが便利になった一方で、日々のデータが収集されていることには気づきにくいという。今後は絵画にとどまらず、より多くの形態に変換して活用することも検討中だ。

「現代アートを通じて、日常的に流れているデータの価値を意識し、考えるきっかけになれば」と出村は来場を呼びかけている。自分の脳波は一体どんな絵になるのだろうか。気になる人は早めに会場を訪れてみよう。

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