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文化庁のメディア芸術クリエーター育成支援事業に40企画が採択

国内クリエーターらの人材育成と海外発信の両面で支援

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Kaoru Hoshino
文化庁
画像提供:文化庁発表会に参加したクリエーターたち
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2024年8月26日、メディア芸術分野におけるクリエーター育成支援関連事業の採択企画発表会が文化庁で行われ、その取り組みが紹介された。

「メディア芸術クリエイター育成支援事業」とは、2011年から実施されている日本の漫画、アニメ、ゲームといったメディア芸術分野の次世代を担う若手クリエーターの創作活動を支援するものだ。今年度は過去最高の216件の応募があり、その中から40企画が採択された。その内訳は、国内クリエイター発表支援プログラムから16件、創作支援プログラムから24件の企画となる。

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画像提供:文化庁挨拶の言葉を述べる都倉俊一文化庁長官

「国内クリエイター創作支援プログラム」とは、新しいメディア芸術作品の創作を支援するもので、5年以上の活動歴または受賞歴があるおよそ40代までのクリエーターが対象だ。一方で「国内クリエイター発表支援プログラム」は、文化庁がメディア芸術作品の発表を支援するもので、3年以上の活動歴があるおおむね40代までのクリエーターが対象となる。いずれのプログラムでも、創作や発表に当たって専門家からのアドバイスを受けられるのが特徴だ。

採択された企画の一例として、ヌマタ/沼田友による『「すこし長い切り抜き動画」、「20分でわかるエマ・リーランド」』が挙げられる。これは、架空のVTuberの配信で見られる待機画面や切り抜き動画のエフェクトを、モキュメンタリー(フェイクドキュメンタリー)形式で再現した動画作品となっている。

また、生成AI(人工知能)技術を用いて5分間だけ別人になれる電話ボックス『別人電話ボックス』を制作する実験東京(安野貴博+山根有紀也)の作品など多様な企画が集まった。このほか採択されたクリエーターの詳細は、文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業公式ウェブサイトで確認できる。

今年から始まる新しい基金事業も

今年度から新たに設立された「文化芸術活動基盤強化基金 クリエイター・アーティスト等育成事業」は、各採択企業によって選定された若手クリエーターを各企業が企画から海外進出に向けて支援するもの。育成から海外展開までを見据えた、5年程度の継続的なサポートが予定されている。 

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画像提供:文化庁「文化芸術活動基盤強化基金 クリエイター・アーティスト育成事業」採択団体の代表者

これにより、日本の文化芸術の国際的なプレゼンスの向上、コンテンツ市場の拡大、さらには海外との文化交流を通じた相互理解の促進が期待されている。

中でも、メディア芸術分野に関わるエンジニアや批評家、キュレーターなどのアドバイザーが作品のコンセプトや技術面でアドバイスを提供するのは、同事業ならでは。経験豊富なアドバイザーが伴走することは、若手クリエーターにとっても大きな支えになるだろう。 

若手クリエーターの登竜門としての存在

これまで育成支援を受けた中には、ライゾマティクスのクリエーター・真鍋大度をはじめ、アーティストのスプツニ子!やアニメーション作家の和田淳などが含まれており、才能のあるクリエーターにとって、本プログラムが世界に羽ばたくための礎として機能してきた。まさに、登竜門的な存在といえるだろう。

発表会では、文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業のアドバイザーである戸村朝子と、文化芸術活動基盤強化基金「クリエイター等育成・文化施設高付加価値化支援事業」の審査委員でタイムアウト東京を運営するORIGINAL Inc.代表取締役の伏谷博之から、今回採択されたクリエーターに向けて応援メッセージが贈られた。

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画像提供:文化庁クリエーターらにエールを送るタイムアウト東京の社長・伏谷博之

戸村は「世界を意識し過ぎなくていい、まっすぐやっていけば、自然と世界初になっていきます」と述べ、伏谷は「熾烈(しれつ)な戦いをしなければならない場面もあるが、日本と世界をつなぐ道を切り開いてほしい。皆さんのチャレンジが、5年後・10年後の日本の文化の未来を切り開くことを期待している」と、力強いエールを送った。

文化庁メディア芸術祭の後継となるか

2022年の「文化庁メディア芸術祭」の実質的な終了は、多くの若手アーティストに衝撃を与えた。本事業はその後継として、日本のクリエーターを世界に紹介する新たな方針を打ち出したものといえる。今後、日本のメディア芸術が世界でどのような地位を築くか、注目が集まっている。

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