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世の中が少しずつ正常になってきたと思ったら、そろそろアメリカでは、地下から数十億匹のセミが出てくるという恐ろしい話が聞こえてきた。「ブルードX」と呼ばれるそのセミは、17年に一度のサイクルでアメリカの大西洋に面した中部諸州や中西部などで大量発生する周期ゼミの一種。2021年は、その発生年に当たる。
実はセミは、アメリカでは比較的あまり見ない昆虫。東部では毎年少数が地上に出てくるが、これまで周期ゼミを経験していない若者や周期ゼミも発生しない西海岸では、そもそもセミを見たことがない人も多い。
ブルードXが出現し始めるのは、一般的に地面の温度が約18度に達する5月上旬から中旬ごろといわれている。この品種は過去に、西はミズーリ州、南はジョージア州、北はミシガン州、東はニューヨーク州のロングアイランドの範囲で出現。2021年は、15州で発生する予測が出ている。
最初にブルードXが現れるエリアである南部の州では、すでに彼らの鳴き声が確認された。 しばらくすると、インディアナ州とオハイオ州の南部からメリーランド州へ広がり、その後、ペンシルバニア州やニュージャージー州までの範囲で発生する見込みだ。
これらの地域に住んでいる場合、ブルードXを避けるためにできることは多くない。なにしろ、何十億ものセミがいるのだ。少なくとも5、6週間しかいないという事実は、慰めになるだろうか。2038年には再び彼らの襲来を受けることになるのだが……。
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