ニュース

ローマの円形闘技場、地下施設が見学可能に

2023年までには闘技場の床も完成

Rosie Hewitson
テキスト:
Rosie Hewitson
Things to Do Editor, London
Rome‘s Colosseum
Photograph: Shutterstock
広告

ローマのコロッセオは、世界で最も象徴的な建造物の一つだろう。2000年前に建てられたこの強大なローマ帝国の遺物は、略奪、地震、さらには第二次世界大戦の爆撃にも耐え、パンデミックが起こるまでは毎年400万人もの観光客を迎えてきた。

2021年6月下旬から、この広大な円形闘技場の「ハイポジウム」と呼ばれる部屋や通路などの地下施設が、初めて見学できるようになった。

ハイポジウムは、闘技場での戦いを控えた剣闘士や熊、虎、象などの動物が待機した場所。この空間にはまた、小道具や舞台装置を上の闘技場につり上げるための精巧な機械も設置されていたようだ。ローマ時代の観客は、リアルな血と血の戦いだけでは満足できず、それ以上の「演出」を求めていたということだろう。

見学者の受け入れに先駆け、2018年からは2500万ユーロ(約32億4,800万)をかけたコロッセオの大規模修復プロジェクトがスタート。80人以上の考古学者、建築家、エンジニア、地形学者、物理学者が参加した。

修復の結果見学者は、地下から24フィート(約7メートル)上の闘技場まで檻を上昇させる古代のエレベーターシステムが見られるようになっただけでなく、闘技場内で行われている演劇の舞台裏として機能していた、15の大きな廊下を歩くことも可能になった。

さらにエキサイティングなことに、2021年初頭、修復プロジェクトの次なるステップに向けて、建築コンペが開催。2021年5月、LabicsとMilan Ingegneriaによるハイポジウムの上の闘技場部分に可能式の床を設置する提案が優勝したことが発表された。床の完成後は、約6万人が入る円形劇場を、戦う剣闘士の視点から見ることができるようになるという。

プランの実装には1,850万ユーロ(約24億円)がかけられ、2023年までに完成する予定。新設される床には特殊な処理を施した木材が使用され、完全に開閉可能となるため、必要に応じて地下空間を雨から守ったり、空気を入れ替えたりできるという。

またこのプランでは持続可能な素材が用いられるため、既存の構造に変更を加えない。よって将来的にコロッセオに関する計画が変更された場合でも、完全に取り外すことができるという。素晴らしいプランに、大きな「いいね」を送りたい。

原文はこちら

関連記事

シンガポールのホーカー文化がユネスコ無形文化遺産に登録

世界遺産に滞在できる宿5選

日本で行くべき美しい世界遺産

海外気分をホテルで満喫、韓国やイタリアを旅するステイ

駐日イタリア大使に聞く、日伊のSDGs未来予想と日本の強み

最新ニュース

    広告