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「ゲイの世界」をテーマとした4人のゲイアーティスト、HEY2、ネルソン・ホー、武内雄大、ナガシマカズタカによる展示「Behind the Closet」。2022年11月18日(金)〜23日(水・祝)に「新宿眼科画廊」のスペースOで開催される。
タイトルの「Behind the Closet」は、「カミングアウト」の由来であり、今まで隠れていたクローゼットの中から外に出て自身のセクシュアリティーやジェンダーを打ち明ける言葉を指す「Coming out of the closet(カミングアウト・オブ・ザ・クローゼット)」から。今回の展示では、クローゼットの中から、外にあるゲイのリアルな世界をのぞき込むように鑑賞者を誘導する。
あなたが見るゲイの世界とは何か。メディアが映し出すようなゲイの世界とは相反するかもしれない。だが、誰もが同じ社会のもとで呼吸し、何かを愛し、孤独さや繊細さを感じ、退屈な人生を送る、ただの人間なのだ。
Behind the Closetでは、油彩画・日本画・版画・立体・陶芸・刺しゅうといった多様なジャンルの作品を展開するほか、インスタレーションやペイントパフォーマンスなど、表現の手法もさまざまだ。開催地、表現方法、作品のジャンルなど、あらゆる側面から多様性を感じられる4人の展示アーティストからのコメントを紹介しよう。
ネルソン・ホー:ゲイコミュニティーに根付いた問題の可視化
ボディイメージ、性的なグルーミング、有害な男らしさなど、ゲイコミュニティーにある問題をテーマに、日本画、刺しゅう、陶芸など、14点の作品を制作しました。
ゲイという男性で構成されるコミュニティーは、有害な男らしさがどれほどメンタルに影響を与えているかを見落としがちで、女らしさを受け入れることの重要性を忘れています。私の人生において、最も愛に欠け、苦しい思いをしたのは、社会からの差別や抑圧ではなく、ゲイ仲間からの偏見でした。社会的・性的利得を求めて競走している世界にいる一人のゲイとして感じた、孤独や苦しみを作品で表しています。
虹の裏側では、ヘテロセクシュアルと同じようにクィアもそれぞれの課題が存在します。それは、私たちのコミュニティーの中でさえ、苦しみの声を出すには不十分だからです。作品を鑑賞することによって、一人でも多くの人が互いに優しく、共感できることを願っています。
HEY2:幼少期に好きだった人形遊びを通して心の中を表現
幼少期から人形遊びが好きで、女の子っぽいと周囲からは不思議な目で見られることがありました。一見すると楽しくポップに見えるものの中に潜む、違和感や恐怖、不安感を、当時「変」だとされていた人形遊びというフィルターを通して表現しています。
そうすることで、自分の心の中にある何かをカミングアウトできると感じたからです。カミングアウトという行為が、私を含むマイノリティーの人たちにとって、建設的でポジティブなものになることを願っています。
ナガシマカズタカ:人と人とのつながりへの渇望
セクシュアルマイノリティーが抱える孤独や人との距離感をテーマに、そこで垣間見る男性同士の触れ合いの「エモさ」を木版画で表現しています。
LGBTQ+当事者がいまだに自由な場所で手を握ることのできない現代の社会で、その感情を抑えきれないシチュエーションが多々存在します。それは、クラブ、別れのホーム、雑踏の街中かもしれません。私はそれを目撃した時、日常と地続きの静かで心地よい感情の変化、つまり「エモい」という感情に駆られるのです。
軽薄な人間関係といわれるゲイの世界、当事者が周りの目があることによって自由に触れ合うことができない社会、そしてコロナ禍により人と人とのつながりや距離感がより意識されるようになった現代。触れ合うことにナイーブになった現代ですが、それでも人は人とのつながりを求めます。
それは、セクシュアリティーやジェンダーにかかわらず、人は一人では生きていけないからではないでしょうか。そんな私が感じる「エモさ」を作品を通して感じてもらえたらうれしく思います。
武内雄大:「歳をとること」をテーマに世間の価値観や考えに抵抗する
肉体的、精神的、社会的な側面から「歳をとること」について捉え直し、そこにある不安や葛藤、諦念や美しさを、油絵を通して表現しようと試みています。
なぜならば、ゲイであり、ただの人間である私が主観的に見た世界を表現することは、ゲイカルチャーに触れ、ゲイの方々と交流をして形成された「歳をとること」に関する価値観に深く基づいているからです。
私の絵は、若さを美徳とする考えやルッキズム、老後の心配など、それらに対する抵抗の証でもあります。少しセンシティブでシリアスな印象を受けるかもしれませんが、ただ楽しんでいただけたらと思います
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