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「(中を)見るだけの訪問は1人5ユーロ(約795円)、ありがとう」。バルセロナで100年以上営業している歴史あるデリカテッセン「ムリア(Queviures Múrria)」の入り口にはそう書かれている。
そう、そうなのだ。これはこのような店のオーナーたちが、何も買わず写真を撮るために店に押し寄せる観光客にうんざりしているということを如実に表している。
バカバカしいと思う人もいるかもしれないが、店では(まだ)誰にも料金を請求していない。マネジャーであるトニ・メリオンによると、この意図は好奇心旺盛な見物客に実際に料金を請求することではなく、のぞき見する観光客がデリカテッセンの仕事や営業を妨害するのを防ぐためだという。
メリオンの説明によると、この張り紙はもともと冗談で設置されたもの。ただ実際には売上を伸ばすのにかなり効果があることが分かったという。今では、写真を撮りに来た客が、店で商品を買ってくれることがよくあるそうだ。それだけではなく、店主は彼らの多くがマナーを守るようになったと感じている。これは、カメラを持った観光客で店内がごった返していた時には思わなかったことだ。
創業100年を超えるムリアは、かつては小さい店だった、今ではノスタルジックな1920年代の広告とモダニスタ(近代主義)的魅力で街の人気スポットとなっている。バルセロナが観光客でにぎわうようになるにつれ、街中の中小企業はそれに適応しなければならなくなっていたが、この店ではそれに対応する独創的な方法を見つけたというわけだ。
バルセロナではオーバーツーリズムがますます問題になっている。観光客の良くない行動に対して対策が講じられたのは、今回が初めてではない。2022年、同市は市内の全てビーチでの喫煙を禁止し、違反した者には30ユーロ(約4,760円)の罰金を科した。
これも観光客の増加と街の清潔さ、住みやすさを両立させようとするバルセロナのバランス感覚を表している事案の一つといえるだろう。
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『https://www.timeout.com/news/this-barcelona-shop-is-fining-tourists-for-window-shopping-072123(原文)』
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