[title]
2024年7月7日、祐天寺に植物、食材、料理、生活用品が楽しめる一軒家スタイルの複合施設「ババジジハウス(babajiji house)」がオープンした。
同店は、2023年まで神宮前で11年間、隣り合わせに営んでいたレストラン「イートリップ(eatrip)」と花屋「ザ リトルショップ オブ フラワーズ (The Little Shop of Flowers)」が移転オープンした施設である。さらに、気軽にグローサリーを購入できる1階の「イートリップ ソイル(eatrip soil)」と、2階のギャラリー&ショップ「家巣ショップ(YES SHOP)」も加わった形だ。
温もりや趣ある内装を手がけたのは、設計デザイン事務所のTRIPSTER。土色の外観、むき出しの梁(はり)、店内の中央に樹齢300年を超えるレッドシダーの切り株、和紙職人のハタノワタルによる和紙壁など、細部までこだわり、自然由来の味と人々のつながりが感じられる。
よりカジュアルに進化したイートリップキッチン
2階では、イートリップで長年厨房(ちゅうぼう)を支えてきた雨池卓郎が担当する「イートリップキッチン」も15時からオープンする。小さなキッチンを囲むカウンターのスタイルで、友人宅の台所を訪れたような感覚になる。
コース料理のみだった以前の形から一新し、発酵食品や素材の味を生かしたワンプレートや小料理を展開。ドリンクは、1階でも購入できる自家製の酵素ジュースやアルコールなど、よりカジュアルな使い方ができる形態となった。
ぜひ食べてほしいのは、海・山・土の食材が一皿になった「地球まるごとプレート」(1,980円、以下全て税込み)。コリンキーのマリネ、玉ねぎのアチャール、葉生姜のピクルスなど、10種類以上の季節の食材をスパイスのシンプルな味付けで、素材本来の味わいを楽しむ。それぞれ単体の味わいを楽しんだ後は、何種か混ぜ合わせて食べてもおいしい。これをピタパン(330円)に挟んで頬張るのもおすすめだ。
これまでイベントなど不定期で提供していた「ちまき」(660円)もレギュラーメニューとして仲間入り。笹の葉を開けると、無農薬、無肥料にこだわる大島農園の艶やかな古代米が顔を見せる。自然な塩味に、もっちり、プチプチとした食感がたまらない。
自由でのびのびとしたフラワーショップ
和テイストな和花や色鮮やかな洋花が、季節の訪れとともにセレクトされる「ザリトルショップオブフラワーズ」。ブーケや「草花包(花を包む折形)」があったり、ホオズキとアンスリウムが隣り合わせに並んでいたりと、その自由で伸び伸びとした花屋の在り方は、花を選ぶ楽しさを改めて気づかせてくれるだろう。
暮らしを彩る日本各地の良品たちに出合う
キルトアート作家の玉置博人による大きな水仙の作品を隔てて、隣にあるのが「グローサリーイートリップソイル」。ここはいわば、2階にある「イートリップキッチン」の貯蔵庫的存在だ。調味料から乾物、ワイン、キッチンアイテムなど、暮らしに彩を添えるような商品が並ぶ。産地は北海道から沖縄までさまざまで、東京にいながら、日本各地の良品に出合えるのもうれしい。
螺旋(らせん)階段を上がると、作家による一点ものが並ぶセレクトショップ「家巣ショップ」。8月下旬までは、「夏の生活を彩るもの」をテーマとした展示が行われている。ヤナギやトウ、麻糸でできた行李(こうり)、イグサや大麻布で作られたバッグなど、涼しげな表情をした作品が並ぶ。丁寧に作られた作品は見ているだけでも楽しいが、思わず連れて帰りたくなるような運命の出合いがあるかもしれない。
4つの店は、それぞれの雰囲気を纏(まと)いつつも、つながりを持ちながら共存し合う。共同オーナーの野村友里と壱岐ゆかりが、神宮前のオープン当時から大切にしている軸でもある「土から生まれ、また土へ還る」という「植」と「食」の循環を存分に感じられる同施設の魅力に、ぜひ触れてみてほしい。
関連記事
『ババジジハウス』
『恵比寿で東京のジャズとクラフトビールシーンが融合したイベントが8月8日開催』
『森林浴×音浴が楽しめるダイニングバー「FUL」が京都・木屋町にオープン』
『後閑信吾が初めて丸の内で挑戦する酒場「The SG Tavern」の全貌』
東京の最新情報をタイムアウト東京のメールマガジンでチェックしよう。登録はこちら