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1956(昭和31)年に創業したインドカレーの先駆け的存在であるデリーが、1号店と同じ上野エリアの路地裏に、小さな工房とレストランを兼ねたアトリエデリーを2021年12月11日(土)、オープンする。
同店は、上野や銀座店と同様にインド、パキスタン料理の店として展開するだけでなく、『たまに食べるならこんなカレーシリーズ』や『Xmasディナーセット』といったオンライン商品の工場的役割を担う。人気商品は販売開始から20分で売り切れるほどだとか。単なる大量生産ではなく、プロの料理人が腕によりをかけて作った料理を多くの人に届ける場づくりを実現した。
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店内は、マスタードイエローを基調とした温かみのある空間。入って左側の壁には「本場の味を 多くの人たちに」という創業当初から変わらぬ同社のポリシーがヒンドゥー語で描かれている。
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デリーといえば、辛くて「シャバシャバ」の『カシミールカレー』や限界まで炒めたタマネギとスパイスの組み合わせがマッチした『コルマカレー』などが代表的だが、既存店と異なるマニアックなカレーが食べられるところが同店の大きな魅力だ。
もともとオンラインショップでは『コルカタ風どでかチキンカレー』や『牡蠣と塩豚のカレー、ケララスタイルで』をはじめ、ひと味変わったカレーを展開。「その経験を元にここでは、この店でしか食べられないユニークなカレーを週替わりで打ち出し、提供することを目指していきます」と、デリー取締役の田中源は語る。
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メニューは当面のところ週替わりの『トゥデェイズ アトリエ メニュー』(1,600円)限定30食のみ。また、ラッシーやビールなどのドリンクとオプションのカレーセットが、200円追加で付けられる。
気になる『トゥデェイズ アトリエ メニュー』は前菜、副菜、メインがセットになっており、インドなどアジア広域で使われているステンレス製の多段式弁当箱、ティフィンキャリアーに入って登場する。盛り付けは、ムンバイにあるタージマハールホテルのメニューを再現しているそう。
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取材時は、ゴアの料理をイメージしたセットが並んだ。3層になったティフィンキャリアーを開けると、『ポークビンダル』に『ペリペリチキン、エビのバルチャオ、ガンパウダーポテトの盛り合わせ』『ナスとオニオンのピクルス』と豪華ラインアップがお目見え。さらに、この日はオプションのカレー『チキンティカマサラ』も追加でオーダーした。
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メインの『ポークビンダル』はクミンやシナモン、クローブなどを調合して作ったスパイスの麻薬的な辛さとココナツ酢のフルーティーな味が調和し、やみつきになる逸品。豚肉はタマネギやココナツ酢、スパイスに漬けて寝かした後にじっくり煮込んでおり、とろける食感に仕上がっている。
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オプションの『チキンティカマサラ』はバター少なめ、スパイスを多めに設定し、既存店の味付けより辛めなのが特徴。付け合わせの『ペリペリチキン』にも注目したい。鷹(たか)の爪やパプリカ、バーズアイなどを混ぜ合わせて仕上げたペリペリソースは、スパイシーな味わい。チャットマサラとブラックペッパーで和えた『ガンパウダーポテト』や、カレーリーフとマスタードシードが決め手の『エビのバルチャオ』は、絶妙な辛さとコクがあり、チキンとの相性抜群だ。
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ドリンクは『フルーツラッシー』を合わせてみよう。ヨーグルトのほか、パイナップル、マンゴー、イチゴ、バナナとさまざまなフルーツを使用しており、爽やかな味わいがカレーの辛さをほどよく中和してくれる。
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「現在はメニューの数こそ少ないが、これからテイクアウトメニューを増やしていく可能性もある」と田中。創業当時の伝統を大切にしつつも、時代に即したカレーを生み出し、オンラインにも柔軟に対応してきたデリー。レストランの味を家庭で味わえる商品の生産と、個性派カレーの提供を両軸に、今後もアトリエデリーならではの新しい展開が期待できそうだ。
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