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2021年3月31日、豪華客船『飛鳥Ⅱ』で知られる郵船クルーズは、環境に配慮された新しい客船の計画を明らかにした。中型客船として初めて、環境への負荷を減らす3種類の燃料に対応するエンジンを搭載する、日本船籍では最大のエコクルーズ船だ。ドイツの造船会社マイヤーベルフト(MEYER WERFT)と造船契約を結び、2025年の完成を目指している。
同船の特徴の一つに船の燃料としては珍しいLNG(液化天然ガス)を使用できる点がある。5、10万トン規模の中型客船では初めて、LNGと低硫黄燃料、ガスオイル燃料という3種類の燃料に対応した「デュアル・フューエル・エンジン」を搭載する。
一般的には、大型船の燃料には石油から生成された重油を使うことが多い。重油よりも二酸化炭素の排出量が少ないLNGを燃料とすることで、環境に配慮したクルーズが可能だ。加えて、日本のクルーズ船で初めて「ダイナミック・ポジショニング・システム(DPS)」を採用し、船の位置をコントロールする際にいかりを下ろすことなく安全に停船。これにより、海底の植物の損傷を最低限にできる。
また、外気を100%取り込むタイプの換気システムや高性能フィルター、イオン殺菌存置やタッチレス対応のエレベーターなど、最新の感染症対策設備も配備。乗客1人当たりのスペースは世界トップクラスの広さを確保する予定だ。船名や細かい仕様はこれから決定するが、乗客定員を『飛鳥Ⅱ』の約85%とすることで快適な船旅を実現する。『飛鳥Ⅱ』で好評の展望露天風呂やIT設備なども充実させ、余暇と仕事を両立するワーケーションの場としても利用できる環境を整えるという。
今回のマイヤーベルフトとの造成契約に当たっては、全てオンラインで価格交渉から契約締結までが実施された。まさに新時代のクルーズ船の到来を予感させる。
※記載内容及びイメージは2021年4月のもので変更、中止となる場合もある
テキスト:山下幸恵(office SOTO)
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