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浅草に「VERTはなれ」が誕生、予約が取れないカウンターデザート専門店の姉妹店

日本茶を生かしたイノベーティブなスイーツをカジュアルに提供

編集:
Genya Aoki
テキスト::
Tomomi Nakamura
ヴェールはなれ
Photo: Keisuke Tanigawa
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神楽坂にある「ヴェール(VERT)」は、なかなか予約が取れないことで知られる、日本茶を織り交ぜたデザートコース専門店だ。そんな人気店が2024年3月15日(金)、日本茶デザートをアラカルトで楽しめる「ヴェール(VERT)はなれ」を浅草にオープンする。予約なしでも訪れることのできる同店は、シングルオリジンの茶を1杯からでもオーダーでき、1号店以上に気軽に利用できる。

ヴェールはなれ
Photo: Keisuke Tanigawa

野外で茶を点てて楽しむ「野だて」からインスピレーションを得て設計された店内には、照明の上に自然の中の茶会に欠かせない「野だて傘」をイメージした、モニュメントが飾られている。全6席の椅子が設置されたカウンターテーブルは、天然石でできており、静かな雰囲気が漂う。

ヴェールはなれ
Photo: Keisuke Tanigawa左からオーナーパティシエの田中俊大、シェフの中西賢士郎

オーナーパティシエは、今はなきアシェットデセールの名店「ジャニス・ウォン(Janice Wong)」や、グラスデザートが人気を誇る野毛の「ラトリエ・ア・マ・ファソン(L'atelier à ma façon)」でのパティシエ経験を持つ、田中俊大である。シェフの中西賢志郎も加わり、食事メニューも一緒に提供していくそうだ。コース料理は、予約が殺到し店に足を運べない人が増えたことから、「もっと気軽に日本茶に触れてほしい」とアラカルト中心の店を立ち上げた。

ヴェール
Photo: Keisuke Tanigawa

「1号店ではひと味違う日本茶の楽しみ方を提案してきました。ヴェールはなれは食材の組み合わせがシンプルなものが多く、シングルオリジンの日本茶も提供しているので、より素材そのものの魅力が体感できる場所になると思います」と、田中は新店のコンセプトを語る。

メニューは常時約6種の日本茶を茶菓子付きで1,100円(以下全て税込み)から提供し、華やかなデザートを8~10種ほど揃える。シェフの中西が手がける「五平餅」(2個660円)や「稲荷寿司」(2個660円)などの軽食もラインアップしている点にも注目だ。新商品の開発も検討中で、時期によって種類を入れ替え、2~3種ほど展開していくそうだ。

ヴェールはなれ
Photo: Keisuke Tanigawa

おすすめは、パティシエの気まぐれで入れ替わる、宝石のようなグラスデザート(2,750円~)。取材時は、日本茶の渋みがかんきつの甘みを引き立てる「ブラットオレンジ、藤かおりのアイスクリーム、ミョウガ、クロモジ、マスカルポーネ」が登場した。

ヴェールはなれ
Photo: Keisuke Tanigawa

小田原「八木下農園」のジューシーなブラットオレンジをスプーンですくうと、「へべす」のムースや静岡県・駄農園の茶葉「藤かおり」を使った茶葉を使った、爽やかな苦みのアイスクリームが顔を出す。その下にはスパイシーなクロモジの寒天や、フレッシュなブラットオレンジの皮のマリネとジャム、食感がアクセントになったミョウガなどがぎゅっと詰まっていて、最後の一口まで飽きずに味わえる。

グラスデザートに合わせるのは、「ミョウガ、ローズマリー、棒ほうじ茶」(1,100円)。玉露の茎を焙煎(ばいせん)した狭山茶 池乃屋園の「棒ほうじ茶」は、存在感のある香りとうまみが特徴的だ。そこに同じく香りの強いローズマリーが加わり、芳醇(ほうじゅん)な一杯となっている。ミョウガの辛みは、グラスデザートともリンクする。

ヴェールはなれ
Photo: Keisuke Tanigawa

「ほくめいのアイスクリーム、メローオレンジ」(800円~)は、 シンプルに素材のおいしさを満喫できるデザートだ。神奈川県にある高梨茶園で栽培された「ほくめい」の茶葉を利用したアイスクリームは、清涼感のある苦味とコクがあり、うまみやあま味が凝縮された八木下農園の「メローオレンジ」と相性ぴったりである。

ヴェールはなれ
Photo: Keisuke Tanigawa

ドリンクはデザートにも使用していたほくめいの茶葉と、うまみがありながら苦みが少なくすっと飲める埼玉県・池乃屋園の玉露、香り高い桜の花を合わせた「サクラ、ほくめい、玉露」をペアリングしよう。

ヴェールはなれ
Photo: Keisuke Tanigawaシェフの中西賢士郎、オーナーパティシエの田中俊大

「昔ながらの日本文化が残る浅草で、日本茶のおいしさをさらに広めていけたらと思っています」と、田中は抱負を語る。とはいえ、素材のみならず神楽坂店と同様に日本茶とイノベーティブな食材とのはっとするようなかけ合わせ、計算された奥行きのある味わいのデザートが楽しめることは間違いなしだ。まだ見たことのない茶の魅力を再発見しに、ぜひ足を運んでみてほしい。

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