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2023年9月15〜24日(日)、東京湾に浮かぶ台場、青海、有明の臨海副都心エリアを舞台に、人と場所をつなぐアートイベント「ARTBAY TOKYO アートフェスティバル」が開催。「CIRCULATION-まちもひともせかいもめぐる-」をテーマに、インスタレーションの展示やワークショップ、パフォーマンスなどのプログラムが展開される。
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今年で2回目の開催となる同イベント。今回は臨海副都心エリアでアートを通して、都市と人の関係性や、自然と人との共生、時間の循環に思いを巡らせほしいという願いが込められている。
ここでは、同イベントの注目作品をエリアごとに紹介する。訪れる際は、ぜひ参考にしてほしい。
花の広場
Everyday Life
玄関口となるのは、シンボルプロムナード公園内の「花の広場」。特徴的な花のオブジェクトの後ろには、人々の日常を特徴的なタッチで描く人気アーティスト・長場雄の作品「Everyday Life」が登場する。長場初となるVR作品で、巨大な白いボックスには、街を行き交うさまざまな人が描かれている。
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スマートフォン越しに眺めてみると、もう一つ別の世界が現れる。風景や建物は現実世界とリンクしており、長場が作り出すパラレルワールドに迷い込んだような錯覚に陥るだろう。
石と光の広場
シンボルプロムナード公園内の「石と光の広場」では、「循環」をテーマとした野外展覧会「Biotope Circles-生きるものたちの息づかいが聴こえる場所-」が展開。キュレーターのYoshida yamar(吉田山)と建築コレクティブ「GROUP」、奥多摩美術研究所が舞台の設計を行った。
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新進の現代アーティスト18人が、それぞれ無機物・有機物を用い、思い思いの手法で「Biotope Circles(生きるものたちの息づかいが聴こえる場所)」を多角的に表現。広大な青空の下でアートを鑑賞できる機会はなかなかない。開放的な雰囲気を楽しんでほしい。
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intermodal garden
展覧会の中核を成すのは、海を臨む臨海副都心の風景の象徴である「コンテナ」。石毛健太はコンテナを用いて「intermodal garden」という作品を発表した。中をのぞいてみると、土が敷かれているのが分かる。この土は埋立地から採集したもので、まばらに生える草は、元から土中に存在していた無数の種子がポリカーボネート製の窓から差し込んだ太陽光などによって発根・発芽したものだ。
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水分は吸水と蒸散を通して空気や茎や土の間を移動し、コンテナの中を循環。同作品は、月日が過ぎ、四季折々で姿形を変えて移動し続ける「庭」として機能する。
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鳩を待つ⾷卓 A table waiting for pigeons
渡辺志桜里は、車を使用して「鳩を待つ⾷卓 A table waiting for pigeons」を制作。一見普通の車に見えるが、車内やルーフを見るとパンくずが散らばっている。
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物流の拠点である港では船やコンテナが動くが、⼈間の生活を媒介としてもさまざまな⽣きものたちが交流し、移動している。⾞もその一つであるが、パンくずを食べに来た鳥など、⼈間以外にも場所を開くことにより、車としての枠組みを超えた機能を顕在化させるというのが同作品の試みである。
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テレビ朝日施設建設予定地
Tokyo Bay Palette
日本のサブカルチャーやミュージックシーンで活躍中のイラストレーター・がーこは、全長25メートルにもおよぶ壁画作品を作成。「臨海副都心エリアを巡る過去、現在、未来」をテーマに、ジャンルの異なる4人の女の子を描いた。現在建設中である、テレビ朝日施設建設予定地の仮囲いアートワークとして展示される。
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近くの公衆トイレ前の壁画には、個性が立つはずの4人のキャラクターがアブストラクト化した表面模様が現れる。具体性を帯びたものと抽象性の高いもの、それぞれを改めて意識することで、見えてくる物事の本質を問う。
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そのほか、23日(土)にはコンテナに囲まれた特別なアート空間で、世界で活動するエアダンスパフォーマー「AIRFOOTWORKS」が一夜限りのスペシャルステージ「SPECTRUM FUSION-光と無重力のアートパフォーマンス-」を開催するなど、全部で約25のプログラムが展開される。
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美しい水辺の景観や豊かな自然、商業施設、展示場、公園などから成る多機能な臨海副都心エリアで、可能性を秘めた多彩なアートと触れ合おう。
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