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東京の「今」を現代アートで再発見するイベント「アートウィーク東京」が、2023年11月5日(日)まで開催中だ。世界最高峰のアートフェア「アート・バーゼル」と提携して2021年にスタートし、3回目となる今年は、美術館に展示された100点以上の作品全てが購入できる展覧会「平衡世界 日本のアート、戦後から今日まで」を初開催するなど、早くからアートファンの注目を集めていた。
ここでは、この週を楽しむ方法を紹介しよう。
無料シャトルバスでアートスポットを巡る。
東京の現代アートシーンをけん引する、50の美術館とギャラリー、イベント会場をつなぐのが、事前予約不要・無料で誰でも乗車できるシャトルバス「AWT BUS」。会期中の毎日10~18時の間、約15分おきに7つのルートで巡回する。
利用は、初回乗車時に各バス停のスタッフから参加証を受け取るだけ。気になっていたアートギャラリーへ足を運びやすいチャンスでもあるので、利用したい。参加証は、バス停が設置された美術館で見せるとチケット代が割引になる特典もある。
この期間各美術館では、見逃せない特別展が多数開催。特に、イギリスを代表する画家デイヴィッド・ホックニーの展示は11月5日までなので、終了前に駆けつけたい。
そのほかにも、都内各所では注目の大規模展示が行われている。恵比寿の「東京都写真美術館」では国内10年ぶりとなる写真家・ホンマタカシの展示、六本木の「国立新美術館」では壮大なパブリックアートで知られる大巻伸嗣の個展、開館20周年を迎えた「森美術館」では環境問題をテーマにした展覧会などが開催中だ。
現代建築家が設計したバーで限定フード&ドリンクを味わう。
今年は建築家の山田紗子が設計を担当した、会期中だけ表参道にオープンする「AWT BAR」。山田は、店内の空間を物のアウトラインだけを取り出すアプローチを試み、直径13ミリのスチールパイプを用いて可視化。身を置く場所によって変わる空間の見え方と、独特の浮遊感が演出されている。
バーでは、日本の風景に着想を得て「森」「海」「山」をテーマに考案したフィンガーフードが初登場。メニューは北参道にあるミシュラン一つ星のフレンチレストラン「シンシア(Sincere)」のオーナーシェフ石井真介が担当した。
「ジェンダー」と「自然」を考察する。
「元始、女性は太陽であった」は、女性解放運動の先駆者として、明治から昭和にかけて活躍した思想家・平塚らいてうの言葉だが、そこからインスピレーションを得た映像作品の無料上映プログラム「AWT VIDEO」も要チェックだ。
スペイン出身のキュレーター、チュス・マルティネス(Chus Martínez)によってセレクトされたのは、「ジェンダー」と「自然」をテーマとした作品群。高田冬彦や地主麻衣子、シャルロット・デュマ(Charlotte Dumas)ら国内外の作家による17作品が楽しめる。会場は大手町の「アース ガーデン」で、期間中の10〜18時上映する。
アート作品を手に入れる。
虎ノ門の「大倉集古館」を会場に行われる展覧会「AWT FOCUS」。「平衡世界 日本のアート、戦後から今日まで」と題して、近現代の美術史を読み解くキーワードを再考しつつ、64作家・105点の作品すべてが参加ギャラリーを通じて購入できる、ありそうでなかった新しい試みだ。
作品選定やテーマ選定などのキュレーションは、「滋賀県立美術館」ディレクターで館長の保坂健二朗が担当。保坂は、現在のアートマーケットにおける美術館の役割や、この先いかに変容していけるかを考え、今回の実験的なセールスプラットフォームへの挑戦を決めたという。
また、日本の美術史は近代化に伴い、西洋から「アート=美術」の概念が入ってきたことで、それまで日本の暮らしに密接だった工芸の概念が変容し、現在もその概念が存在していると言わざるを得ない。しかし本展は、従来の美術館ではあまり見られない、絵画や彫刻、写真、陶芸、書など、ジャンルレスに構成。「平衡世界(Worlds in Balance)」をテーマに、時系列にとらわれない章立てで展示する。
近現代の美術史に刻まれる作品をたどりながら、販売価格という現時点でのアートマーケットの価値評価をも知ることができる、稀な機会と言えよう。チケットは一般当日2,000円からで、学生と子どもは無料だ。
東京のコンテンポラリーアートの「今」と、創造や多様性を国内外に発信する「アートウィーク東京」を満喫してほしい。
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