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進化する前橋に新たなアート拠点「まえばしガレリア」が誕生

アートホテル「白井屋ホテル」誕生以降の注目エリア

テキスト:
Aya Hasegawa
まえばしガレリア
まえばしガレリア
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群馬県前橋市といって何を思い浮かべるだろうか。人口33万人(2023年4月末現在)のありふれた地方都市だが、2020年12月に、300年余の歴史を持つ老舗旅館を大幅リノベーションしたアートホテル「白井屋ホテル」が誕生して以降、注目を浴びている。デパート別館だった建物をリノベーションするかたちで、2013年にオープンした公立美術館「アーツ前橋」の存在も無視できない。前橋市は今、アートデスティネーションとして変貌を遂げつつある。

白井屋ホテル
白井屋ホテル

そんな前橋に2023年5月7日、市内中心部に新たなアートの拠点「まえばしガレリア」が誕生した。同所は、100年以上前から60年近く映画館があった場所にできたアートとデザインによる地域活性化を目的とした複合施設。アートギャラリーとレストラン、住居が一体となった空間だ。「発見のある暮らし、創造が生まれる場所、前橋ラバーズが集う拠点」をコンセプトに掲げる。前橋中心市街地の民間都市開発を進める「まちの開発舎」が開発した。

まえばしガレリア
まえばしガレリア

いくつもの立方体が互い違いに積み重なったような建築デザインは、建築家で京都大学の教授を務める平田晃久が担当。平田は、1本の樹の下に人々が集まり、それぞれが自由に活動する様子をイメージして設計したと明かした。さらに、「樹の下にはギャラリーやレストラン、屋外のオープンな居場所が入り混じる、ユニークな広場ができます。芽吹く緑や街の生命力とつながった、生き生きとした建築をつくりたいと思います」とコメントを寄せている。

まえばしガレリア
まえばしガレリア

敷地面積は1241平方メートル、延床面積は2018平方メートル。建物は、前橋の街の特徴でもある小さなスケールの集積による立体構成で、13層に積み上げられたボリュームが中庭を囲むように地上4階にまとめた。2~4階は住居エリアとなる。

1階は中庭を囲む3区画のテナントから構成されている。うち2区画がギャラリーエリアだ。ギャラリー1には「タカ イシイギャラリー」が入居。ギャラリー2は、「小山登美夫ギャラリー」「マキ ギャラリー(MAKI Gallery)」「リン アート アソシエーション(rin art association)」「アート オフィス シオバラ」の4社による共同運営となる。さらに、フレンチレストラン「セパージュ(cépages)」の入居が決まっている(6月1日オープン予定)。

タカ イシイギャラリー
タカ イシイギャラリー

最も巨大なスペースを占めるタカ イシイは通りに面しており、ガラス張りのファサードと7メートルもの高い吹き抜けが特徴的だ。都市に開いたギャラリーとすることで街を行き交う人々に現代アートに触れる機会を創出し、地域に発見と問題提起を促す。オープンを記念し、7月9日(日)まで、ロンドン出身のアーティスト、ディノス・チャップマン(Dinos Chapman)などの作品を展示する展覧会を実施中だ。

2016年8月に、未来を見据えた「前橋市ビジョン」の発表会で、ボディーコピーの「めぶく。」が共有された。その後の躍進は多くの人が知るところだ。施設の内外にローレンス・ウィナーやレアンドロ・エルリッヒ、杉本博史司ら、世界に名を轟かせるアーティストたちの作品が点在するほか、藤本壮介が設計した「白井屋ホテル」をはじめ、前橋の「まちなか」では少しずつ魅力的な店やコミュニティースペースなどが誕生し、にぎわいが戻りはじめている。

現代アートと美⾷、そして創造的な暮らしを織りなすアートレジデンス「まえばしガレリア」。前橋の変貌から目が離せない。

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