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2023年4月28日、六本木の再開発により取り壊しが決まっている雑居ビルに、台湾料理を楽しめるアートギャラリー「アートかビーフンか白厨」が2年間限定でオープンした。プロデュースしたのは、アーティストに直接支援を送りながらアート作品から受けた感動を気軽に残せる、アート・コミュニケーションプラットフォーム「アートスティッカー(ArtSticker)」を運営するザ・チェーンミュージアム(The Chain Museum)だ。
2階がギャラリー、すぐ横にはカウンター席が並ぶオープンキッチンの飲食スペースがある。少しハードル高く、分かりにくいイメージを持たれがちな現代アートを食や会話を通して、身近に感じてほしいという思いから、このユニークなギャラリーが立ち上がった。
毎月変わる国内外のアートを堪能
雑居ビルの小さな扉をくぐり抜けて、階段で2階へと上がると、アートが出迎える。
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4月28日〜5月28日(日)の期間は、日本橋・馬喰町にあるギャラリー「CON_」がキュレーションし、山中雪乃とハン・ジヒョン(Jihyoung Han)による2人展「Friction Shimmering」を開催。タイトルの意味は「摩擦のきらめき」で、アーティスト自身の視点と鑑賞の交換による「摩擦」が共鳴し合うことから着想したものだそう。
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絵画や写真など、多様なレイヤーと自分の視点を通して作品を構成する山中雪乃と、ソウルを拠点に活躍するハン・ジヒョンは、学生時代に京都で出会ったという。国をまたいで駆け抜けるアーティストらが感受する時代の空気を、作品から感じ取ってみてほしい。
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同ギャラリーでは毎月、アートプロジェクトの企画展を実施する。国内外、ジャンルなどは問わず、多様なアーティストを紹介する予定。今後の展示にも注目したい。
アート鑑賞の後は台湾料理と白酒で乾杯
隣接する飲食スペースは、カウンター席を中心としたアットホームな雰囲気が広がる。
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壁や扉を隔てず、アートと食がシームレスに隣り合っている不思議な空間だ。飲食部門は、「ワタリウム美術館」のカフェ「腸内芸術」やケータリング業などを行うギャザー(gather)の代表、小川呂美が手がけている。
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メニューは、ビーフンやピータンなど台湾料理をメインに提供。ドリンクは、クラフトビールやナチュールワインのほか、紹興酒を使用した「ドラゴンハイボール」や中国の白酒などを取り揃える。
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中でも「干し貝柱と干し海老の焼きビーフン」(1,650円、以下全て税込み)は絶品だ。一口食べてみると魚介のうまみが広がる。「殻付きピータン」(770円)は名前の通り、殻のまま提供される。殻をむき進めると、馴染みの黒い卵が顔を出す。
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壁際のカウンターに並んだ「ジョニーウォーカー」のスコッチウイスキーに、名前が書かれた白いストラップがぶら下がっている。早速ボトルキープしている人がいるのかと思ったが、実はこれはアーティストを応援する「ボトルフォアアーティスト(BFA)」というサービス。購入後はドネーションとしてアーティストへ振る舞えるのである。1本8,000円、3本2万円で販売しているので、作家と交流しながら支援したい人は購入してみては。
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同店について、ザ・チェーンミュージアム代表の遠山正道は「さまざまな情報が混沌(こんとん)としている今、人間の内側の充実や幸福感がこれからの時代に大事になってくると思います。そういう時に、気付きや関心、共感を得られるアートの魅力に触れてほしいです。2年間のみの営業ですが、5年後、10年後に『あそこのお店ってすごく良かったよね』と語られるような場所を目指しています」と語る。
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同店を皮切りに、2024年までに港区と中央区エリアにも、新たなアートギャラリーを開業予定だ。飲食とアートが同時に楽しめる全く新しいギャラリーから、今後も目が離せない。
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