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ニューヨークには、おいしいベーグルに詳しいと自負する住民が多い。しかし、実際に尊敬に値する「専門家」という意味では、自称 「ベーグル大使」であり、「ベーグルフェスト」というこの街の食文化を祝う祭典の仕掛け人であるサム・シルバーマンの右に出る者はいないだろう。
2024年4月中旬、BBCが掲載したシルバーマンがニューヨークのベストベーグルをランキングで紹介する記事では、人々がさまざまな意見を寄せていたようだ。我々もニューヨーカーとして、当然このトピックを見過ごせない。どんな店が選ばれたのか振りかえってみたい。
「じゃない」店が上位に
シルバーマンが1位に選び、「グループ客に最適」と評価する一押しするベーグルショップがクイーンズにある「Utopia Bagels」だ。この店は、作るのに24時間かかる巨大ピザベーグルや、「神への冒涜(ぼうとく)」といえなくもない穴なしベーグルなど(一例を挙げればきりがない)、ここ数年のベーグルに関連する最もギミックに富んだ発明で話題。ただ、ベーグルがおいしいという評価には、我々も異論はない。
BBCの記事で、シルバーマンは「彼らは、私がこれまで見てきたベーグルショップの中で最も印象的なものの一つです。ここでは、50人以上のスタッフが週に10万個以上のベーグルを手で成形。開店当初からある巨大なオーブンは、ニューヨークベーグルに欠かせない表面の『パリパリ感』を完璧に作り出しています」と評している。
2位は「PopUp Bagels」。コロナ禍において、アダム・ゴールドバーグがコネティカット州の裏庭で始めたプロジェクトから発展した店だ。確かに味はいいが、ニューヨーカーが大切にしている「クラシック」なベーグルとは一線を画している。ここではベーグルにロックス(スモークサーモン)とクリームチーズを挟むといったは注文できない。むしろ、ちぎってシュミア(クリームチーズペースト)を付ける前に、パンをそのまま食べるのがいいのだそうだ。(我々も含む)一部の人にとっては、まさに冒涜的なことだといえる。
3位はタイムアウトマーケットにも出店
シルバーマンのリストに3位に入ったのは、おそらく、業界でも最も有名なベーグルショップ店の一つ「Ess-a-bagel」だ。マンハッタンに3店舗、ブルックリンに1店舗を構え、シルバーマンもこの店を「名店」と呼び、一目を置く。
これには全く同意できる。とても好きだからこそ、我々もこの店を「タイムアウトマーケットニューヨーク」に誘致したのだ。ここで有益な情報を一つ。Ess-a-bagelの店舗には、ベーグルとクリームチーズだけを注文できる列があることを知っているだろうか。「つまり、ベーグルサンドはないが、行列をスキップできる。オーブンから出たばかりのベーグルが買えるんです。後悔はしないでしょう」とシルバーマンも話している。
レインボーベーグルも健在
ランキングはアッパーウエストサイドの「Absolute Bagels」(4位)、「Tompkins Square Bagels」(5位)と続くが、6位の「Liberty Bagels」に関しては見過ごせない。
ソーシャルメディアにおける食の流行は、その影響力の大きさから注目に値するが、(彼らが提供するような)レインボーベーグルにはどうしても賛同できない。どこかで一線を引かなければならないのだ。
8位までを選出したシルバーマンのリストは、街一番のクリームチーズのセレクションを誇る「Bagel Pub」(7位)と「Bagel Hole」(8位)で締めくくられる。シルバーマンは、昔ながらのやり方をできるだけ貫こうとするBagel Holeについて、「彼らは、街で最も遅くトースターを買ったベーグルショップでしょう。本来焼きたてを提供する店ではトースターは使われないのです。その伝統を長く守り続けました」と評している。
彼の選択にほぼ同意するが、リストからいくつかのスポットが欠けている。我々のリストもぜひ見てほしい。
ニューヨークベーグルの戒律
シルバーマンの選んだベーグルについてどう思うかはともかく、一つ確かなことは、彼がBBCで共有している、正しい「ベーグルエチケット」にまつわる以下の3つのヒントがまったくもって的を得ている、ということだ。
・手成形と釜ゆでのベーグルが最高である
・焼きたてのベーグルはあえてトーストしない
・ニューヨークの神髄を味わうにはクリームチーズとロックスのシンプルな組み合わせを選ぶ
非公式ではあるが、「ニューヨークベーグルの戒律」と言えるべきものだ。この戒律を守ってニューヨークでベーグルを堪能してほしい。
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