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千駄ヶ谷にあるスポーツの聖地「東京体育館」に、「アラビアンレストラン&カフェバー オアシス(Arabian Restaurant & Cafe Bar Oasis)」が、2023年10月1日オープンした。
日本ではあまり馴染みのない中近東地域のアラビア料理を中心に、「身体の美と健康にこだわり、美味しく楽しくお洒落な気分を味わえるレストラン&カフェバー」をコンセプトとして、栄養バランスのとれた活力の出るメニューと洗練された空間を提供する。
アラビア料理とは、アラブだけでなく、中東や地中海地域など幅広いイスラム文化圏の食文化を内包した料理で、エジプト料理やトルコ料理、サウジアラビア料理やイスラエル料理なども含まれる。中東の暑い気候でも健康的に生活できるように、さまざまなスパイスやハーブ、柑橘類やオリーブ油などをふんだんに使って味付けされているのが特徴だ。
スポーツ施設に併設したレストランということもあり、管理栄養士が監修したというメニューはいずれもヘルシー志向。栄養価が豊富なスーパーフードを多用し、低カロリー、低糖質・脂質を意識した料理や、免疫力向上と美肌効果などを期待したスムージーやフレッシュジュースを取り揃える。ハラルやベジタリアンにも対応したメニューも用意しており、昨今提唱されるフードダイバーシティにも意欲的である。
アラビア文化に関心のある人はもちろん、千駄ヶ谷周辺に暮らす人、ジムの利用客やイベントの来訪客における「砂漠の中のオアシス」になることを目指し、今後はさまざまなメニューやイベントを企画していく予定だという。運営会社であるアーバンズ合同会社のCMO・柳堀源太郎は「オアシスがあるから東京体育館へ行く、というぐらいにしたい」と語っており、かなりの熱意がうかがえる。
メニューはいずれも地中海や北アフリカ、ヨーロッパの食材にこだわり、聞きなれない名前が多いが、その味わいは「好きな人は好きだよね」というようなエキセントリックなものではない。しっかりとした旨味と滋養に満ちた、ポピュラリティーにあふれるメニューばかりだ。
例えば、エジプトの大衆料理「コシャリ」である。現地の言葉で「混ぜ合わせる」という意味で、シェフの石高曰く「日本でいえばラーメンのような国民食」なのだそう。米やパスタ、ヒヨコ豆、レンズ豆などをミックスし、好みで酸味ソースや辛味ソースなどをかけて食べるのだが、とても腹持ちがよく、しかもヘルシーときているからうれしい。
日本人がエジプト旅行した際の思い出のトップ3は「ピラミッド、スフィンクス、コシャリ」と言われるほどに、日本人の舌と心をとらえるポテンシャルを秘めたソウルフードだ。
そして「チキンカプサ」は、羊肉や鶏肉などを米と一緒に炊く、サウジアラビアの伝統的なピラフ。スパイスの香りが食欲をそそる一品だが、日本で本場のカプサが食べられる店というのは数少ないそうで、こちらも試してほしい。
いわゆる「おかず」にあたるメニューも種類豊富だ。「メルゲーズ」は北アフリカ発祥のスパイシーなラムソーセージで、味わいも香りもともに強くクセになる。
そのほか、ココナッツを使用したデザートなど、中近東地域のスイーツも多数供されるが、トレンドの移り変わりの激しいスイーツ業界において、注目を浴びているのが「バクラヴァ」である。
オスマン帝国時代から愛されているトルコの伝統菓子で、何十層にも重ねられた薄いパイ生地にピスタチオやクルミなどを挟んで焼き上げた菓子のことだ。濃厚な甘味と芳醇なバターの風味、そしてサクサクとしたパイの食感のアンサンブルが放つ贅沢な味わいがたまらない。
押し付けがましくないカジュアルで家庭的な温かさと、安易なエキゾチズムへと走らないモダンな店構え、そして多くの日本人が新鮮と感ずるであろう、新鮮な味わいと彩りにあふれたメニューの数々は、一人で訪れても、友人やカップル、家族などでと、さまざまなシチュエーションにもマッチングする、楽しい外食となるだろう。
同店をきっかけとして、アラビア料理が日本でも広く愛されるようになってほしいし、また結構な確率でそうなるのではないかと思う。ビリヤニやケバブライスが市民権を得たように。
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