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今やインドカレーのみならず、ネパール、スリランカ、創作までさまざまなタイプのカレーを食べられるようになったが、多種多様なカレーを一度に食べられる機会は実は多くない。コロナ禍でイベントの開催が少ない現状ではさらに貴重である。
そんななか、表参道のコミューンで2021年2月13、14日に『青山咖喱市場』が開催。未来のカレー界を担う『カレー学生連合』や、日本最高峰の頭脳で研究を重ねる東京大学スパイス部が運営する『香百脚(カモアシ)』をはじめとした、ルーキーたちを含む8店舗による趣向を凝らしたカレーがふるまわれ、カレーファン垂ぜんもののイベントとなった。
個性がぶつかり、生まれる味わい
会場は、各種ショップが並ぶ複合施設、コミューンのイベントスペース。開催前からアナウンスをしていた出店側のコロナ対策と来場者へ協力要請のかいもあり、距離を保ちながら多くの人が会場を行き交う。
目当てのカレーは4店舗ずつで、AとB(各2,000円)のプレートの2種類からどちらかを選ぶスタイルだ。今回の店舗と、提供したカレーは以下。
Aプレート
クッテコ(麻辣豚カレー)
j’ svendor(チキンオーバーライス)
香百脚(香百脚カレー)
やっちょる(ココナッツカレー)
Bプレート
スパイスカレー虜(ホアジャオ明太子ココナッツカレー)
枝とそら(ボッタ)
カレー学生連合(紅白中華ピーナッツ豚コルマ)
放浪カレー(塩麹チキンカレー)
購入したA、Bいずれかのチケットを入り口で渡すと、ずらりと並ぶ各店のカレーがリレー形式で注がれていく。コロナ対策のためビニールカーテン越しではあるが、見た目からして個性の違うそれぞれのカレーが盛られていく様はなんとも贅沢で、たまらなく食欲をそそる。
もちろん、個性の違いは見た目だけではない。それぞれの作り手は、普段は全く異なる場で活動している上に、学生やIT企業勤務、DJなどを本業にしながら、趣味のレベルをはるかに超えた情熱を持つカレーフリークス。それぞれが追求した「最高のカレー」はそれぞれに完成されている。そして、混ざり合うことで最後の一口まで思いがけない芳香が広がり、バランスを取らずしても「最高のワンプレート」ができることを実感させてくれる。
プレートは2種のため、二人以上でシェアすれば全カレーを制覇できるのは当然のこと、個別での注文(各500円)も可能。豊富なバリエーションを楽しむことも、その中から自分好みの味と香りを堪能することもできるので、全てのカレーファンの欲求を満たしたことだろう。
ラインアップの裏側は
「多くの人をひきつけるカレーで、そこに集まる人のさまざまな価値観をシェアする場を作りたかった」と語るのは、本イベントの発起人であるpots&pansの磯田。自身も間借り営業をしながらもほかの間借りカレー店とのコラボ企画を行い、今回の出店者もそこでのつながりをきっかけに声かけを進めていったそう。
また、「今の学生たちが作るカレーのレベルはかなり高い。だけど、コロナや経済的な影響などで表舞台に立つ機会が少ないから、今回は特に彼らに活躍してほしかった」と、カレー学生連合や東京大学スパイス部の参加の経緯も話してくれた。実際に開催前から彼らへの注目度も高く、提供したカレーのクオリティーの高さも相まって、SNSでの反響も大きかったようだ。
勢いのある次世代のプレイヤーが一堂に会するイベントは、新たな価値観との出合いがあり刺激的で、シーンが盛り上がる予感を確実なものにしてくれる。次回の開催も、表参道のコミューンで2021年3月27日(土)、28日(日)予定とのこと。記念すべき年度末を、スパイシーに締めくくりたい。
テキスト:組橋信太朗
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