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2023年4月7日(金)〜6月4日(日)、「八王子市夢美術館」で「アルフォンス・ ミュシャ展」が開催。優美なポスターや装飾パネルをはじめ、パリ時代の活躍から祖国であるチェコとスラブ民族にささげる晩年の作品や画学生の手引きのために制作された「装飾資料集」まで、400点以上を公開する。
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1860年、民族意識の色濃いモラヴィア地方の村イヴァンチッツェ(現チェコ共和国)に生まれたミュシャは、言わずと知れたアール・ヌーヴォーを代表する画家。パリの名女優、サラ・ベルナールの舞台「ジスモンダ」の宣伝用ポスターを手がけたことから、人気画家としてのキャリアが始まった。当時ミュシャが作成したポスターは、貼ったそばからはがされるほどの人気ぶりであった。
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6年間に及ぶサラのポスターのほか、大量生産が可能で安価販売ができるリトグラフの装飾パネルやカレンダー、商品パッケージなどを制作。富裕層の特権であった芸術を、一般市民が楽しめる文化へと引き上げた。
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パリでの華やかな活躍の後は、商業的な仕事から一線を置き、故郷とスラブ民族のための作品制作に取り掛かる。晩年はチェコに帰国し、「スラヴ叙事詩」制作と並行してプラハ市民会館の壁面装飾を担当。チェコスロバキア共和国独立の際は、新国家に関わる切手や紙幣などのあらゆるデザインを無報酬で引き受けたという。
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八王子市夢美術館は「くらしの中の美術館」をコンセプトとし、市民が普段の生活の中で芸術に親しめるよう作られた美術館だ。会期中はミュージアムショップの特設会場を設け、ポストカード、ステーショナリー、エコバッグなどのグッズや、コレクターの尾形寿行コレクションによる額装品の販売も行う。ミュージアムショップのみの利用もできるため、気軽に訪れやすい。
「民衆のための芸術」という信念を生涯貫いたミュシャの作品を、ぜひ八王子で鑑賞しよう。
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