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世界最高峰のサーカス・エンターテインメント集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」が5年ぶりに来日。新作「ダイハツ アレグリア―新たなる光―」が2023年2月9日から「お台場ビッグトップ」で開幕した。本記事では、類稀な身体能力を持ったパフォーマーたちの躍動と希望に満ちあふれた物語の魅力をいち早くレポートする。
「新たなる光」の再来
1994年に誕生した演目「アレグリア」は一度幕を下ろしたものの、25周年に当たる2019年にリニューアル。「アレグリア」とはスペイン語で「歓喜」の意味を持ち、旧体制に抗う若者たちのストーリーとして「回復力」「再生」をテーマに掲げている。
誕生から30年近く経つ本作だが、実はシルク・ドゥ・ソレイユの長い歴史の中で最も長い期間上演された作品だ。本公演では20カ国から125人のキャスト・スタッフが集結。17カ国の出身国から約60人のパフォーマーたちがステージに立つ。
個性あふれるキャラクターと美しい衣装
まずは登場するキャラクターたちを紹介しよう。狂気の王国に住む「ミスター・フルール」は、自分を王位継承者と思い込み王権を行使しようとする愚か者だが、どこか憎めない人物。旧体制を象徴する「貴族」たちの歪んだヘアメイクやボロボロになりかけた豪華でキッチュな衣装は、現状を維持し、権力にしがみつく滑稽なキャラクターを演出している。
そんな貴族の中でもユーモアを共有し、未来へと進むおどけたコンビは「クラウン」。クラウンは出てきただけで子どもたちの歓声をさらう大人気のキャラクターだ。
対して、旧体制に抗い既存の秩序を打ち破る力強い若者たちを象徴した「ブロンクス」の衣装は、アースカラーに統一され、古代ギリシャの神話を連想するような肉体美が映えるつくりになっている。
そのほか「王国に爽やかな風を吹き込む「エンジェル」、優美で繊細な「ニンフ」。黒と白の2人の「シンガー」、そして5人の「ミュージシャン」が物語を作り上げる。
ちなみに1995年にはグラミー賞にもノミネートされたアレグリアの楽曲だが、公演中は全て生で演奏。毎公演、アレンジのきいた楽曲を楽しもう。
躍動する肉体とスリリングな演目
アレグリアの魅力は、なんといってもパフォーマーたちの身体。世界中から発掘した希少な才能に鍛錬と努力を重ねた技術は、息を飲む程に圧倒される。
冒頭、長い棒を使ったサーカスの技法「ロシアンバー」と人間ピラミッドのような「バンキン」を組み合わせた世界初の「アクロ・ポール」にまず圧倒される。それから巨大な車輪を肉体一つで回転させる「ジャーマン・ホイール」、本物の炎が燃えるたいまつを、ファイヤージャグリングアーティストがステージで回し続ける「ファイヤー・ナイフ・ダンス」は、会場全体に熱が伝わる激しさだ。
2人のエンジェルが空中ブランコに乗り、息の合った演技を見せる「シンクロナイズド・トラピス・デュオ」やテーマ曲に合わせて雪の中を2人のカップルが空中で舞うロマンチックな演目「エアリアル・ストラップ」、研ぎ澄まされた技術の「フラフープ」や「ハンド・トゥ・ハンド」、交差したトランポリンの上で14人のブロンクスが飛び回るダイナミックな「パワートラック」……。
会場内に強い風が吹き荒れ、クラウンたちが吹雪に見舞われる「クラウン・スノーストーム」は、もはや体験型の演目と言ってもいいほど。大人も子どもも風に吹かれ雪を模した紙吹雪を浴び、日頃のストレスも忘れてしまうだろう。
最後の「フライング・トラビス」は、ステージ上10メートルの高さにセットされた4つのブランコで、膝だけを固定した力強いキャッチャーの腕めがけ、エンジェルたちが飛び交う演目。観客たちも頭上を見上げた首が痛くなるほどに、固唾を飲み見守る瞬間だ。
そして感動のフィナーレ。観客をステージに上げるシーンもあり、その時々の演出にも注目だ。奇跡の公演をぜひ会場で目撃してほしい。
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