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2021年10月17日(日)、LGBTQ+に関連した映画を上映する足立レインボー映画祭の第2回が開催される。第1回ではレズビアン、ゲイなど性的指向に関わる諸問題をテーマにした映画をピックアップしていたが、今回はトランスジェンダーなど性自認をテーマにした映画3本のラインアップだ。
足立区では、4月に「パートナーシップ、ファミリーシップ制度」がスタート。その制度を利用した同性カップルが「制度だけでなく、より多くの人に実態を知ってもらいたい」と映画祭を主催した。本記事では、主催者の一人である長村さと子に、映画祭と制度導入のつながりについて話を聞いた。
関係性の証明が大きな後押しに
ー長村さんが映画祭を主催する最初のきっかけを教えてください。
2020年、足立区の区議員が「LGBTQ+ばかりになると足立区が滅びる」といった内容の差別的発言をして問題になったのを覚えていますか? 当時は妊活中だったのですが足立区出身ということもあって、すごく衝撃を受けました。いてもたってもいられなくて、足立区在住のLGBTQ+当事者たちと区役所を訪ね、区長との意見交換を行いました。たくさんの声があって、結果「パートナーシップ、ファミリーシップ制度」につながったようです。
私とパートナーもパートナーシップ宣誓をしましたが、その後、妊娠が分かって早速この制度が役に立ちました。区役所に母子手帳を取りに行くと、戸籍上は未婚の母となるため保健師の人に「夫や支援してくれる人は?」と事情を聞かれて。とっさに同性パートナーがいると答えられなくて、とりあえずパートナーシップ宣誓のカードを見せました。そうしたら保健師さんが「あ、」と察して、納得してくれたんですよね。行政がパートナーとの関係を認めてくれるのは、何かと心強いです。
ー足立区はファミリーシップ宣誓制度を都内で初めて導入したことでも注目されました。パートナーシップとは、どんな違いがあるのでしょうか。
パートナーシップはパートナーとの関係性の証明です。ファミリーシップは、血縁関係がなくてもパートナーをはじめ、子どもも家族であることを行政が証明してくれるものです。家族と認められなくて困るのは、子どもが病気になった場合などの緊急時です。子どもが入院するとなった時、パートナーでは公的に家族だと証明するものがないので入退院の手続きができないことがあります。ファミリーシップ宣誓があれば、病院に対して説明しやすくなるんですよ。
ただ、制度ができたからと言って、誰もが性的マイノリティーについて理解があるわけではありません。なぜそういった制度が必要なのか? いろいろな方が、楽しみながら知る機会を作れたらと思いました。足立区としても、制度と合わせて理解促進のための施策が必要という思いがあるようです。
性は「男女」だけじゃないと知ってほしい
ー今回の映画祭の見どころを教えて下さい。
2本目の『I AM THEY』は、男性や女性というジェンダーに当てはめない性自認を持つ「ノンバイナリー」の人々にフォーカスしたドキュメンタリーです。この作品には日本語訳がなかったので、今回の映画祭のために用意しました。まだほかでは翻訳は出ていないので、ぜひご覧いただきたいです。
また、1本目の『ナチュラルウーマン』は、トランス女性の俳優が演じたことでも話題となりました。そして、3本目の『パレードへようこそ』は、泣いて笑ってハッピーになれる作品です。性は「男性か女性のどちらか」のように、そんなに単純なものではないんだと感じてもらえたうれしいですね。
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※詳細情報は公式Twitterで更新
テキスト:吉田ミツイ
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