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2021年6月19日(土)、足立レインボー映画祭が開催。LGBTQ+に関連した映画3本を上映する映画祭として、場所は足立区の東京芸術センター 天空劇場で行われる。感染対策のため事前予約は必要だが、入場料金は無料だ。
足立区では、2021年4月にパートナーシップ、ファミリーシップ宣誓制度がスタート。その制度を利用した同性カップルをはじめ、「制度だけでなくより多くの人に実態を知ってもらいたい」と立ち上がった。2020年、同区では区議会で「LGBTQ+ばかりになると足立区が滅びる」といった差別的発言があり、物議を醸してきた。以来、区内に住む当事者たちが中心となり声を上げてきたが、今回、映画というエンターテインメントを通じて、楽しみながら性的マイノリティーへの理解を深めてもらおうと企画に至ったという。
上映されるのは『カランコエの花』『チョコレートドーナツ』『ラフィキ』の3作品だが、見どころは映画だけではない。上映後に行われる、テーマに沿ったトークイベントも必見だ。
『カランコエの花』の舞台は、とある高校。2年生のクラスで、ある日突然「LGBTについて」の授業が行われた。しかしほかのクラスではその授業は行われておらず、生徒たちは「うちのクラスにLGBTの人がいるんじゃないか?」と疑念を深めていく。思春期ならではの心の葛藤を軸に、教育現場での対応の難しさを問いかける。
上映後には「教育現場で私たちができること」をテーマに、2人の専門家が対談。オープンリーゲイで現役小学校教諭の鈴木茂義と、性的マイノリティーの子を持つ母でもあり、NPO法人ASTA共同代表として『LGBTQ出張授業』を精力的に行う松岡成子だ。
『チョコレートドーナツ』は、実際にあったゲイカップルの養子縁組を巡るアメリカの事件を元にした映画。2020年には宮本亜門演出、東山紀之が主演を務め、世界初の舞台化で話題になった。
同性カップルの里親認定を推進する一般社団法人レインボーフォスターケア代表の藤めぐみと、LGBTQ+が子どもを持つことを支援する一般社団法人こどまっぷスタッフの永井遥が登壇する。
『ラフィキ』は、同性愛が法律で禁止されているケニアで、女性同士の恋に落ちた少女と周囲の人々の葛藤を描いた物語。上映後は、レインボー難民支援活動家の山本そよかが「世界のLGBTQ難民の現状」について語る。レインボー難民とは、LGBTQ+であるために死刑や刑罰の対象になり、迫害を受け難民となる人々のことだ。
主催する実行委員会の一人、茂田まみこは「映画を見た後、『あれってどういうことだったんだろう』とか何かしら感じると思う。ほかの意見を聞くことで、自分で考えるだけじゃなく、もう少し視野が広がるような経験も一緒に持って帰ってほしい」と語る。
会場では「カミングアウト」や「アウティング」などLGBTQ+に関する言葉の説明や、各国の制度、差別の現状を図解したパネル展示も予定されている。予備知識が一切ない状態でも、足を運ぶだけでさまざまな学びを得られることだろう。
また、2021年10月には第2回の開催も行われる。10月にはトランスジェンダーやXジェンダーなど、今回カバーしきれていないセクシュアリティーをより深く学べる映画をラインアップする予定だ。
1作品につき先着30人までだが、当日券の配布も用意されている。専門的な解説がついて3作品も映画が見られる貴重な機会に、ぜひ足を運んでみては。
※詳細情報は公式Twitterで更新
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