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2022年の感謝祭に、アメリカで七面鳥を調達するのが難しくなるかもしれない。もし見つかったとしても、高価なものになるだろう。世界の全ての国に影響を与えるようなことではないかもしれないが、切実な問題だ。
その主な理由は、鳥インフルエンザ。今年はこれまで、この感染症にかかった600万羽の七面鳥が死んだか、安楽死させられたという。七面鳥にとっても、資材を投入してきた農家にとっても、これは大きな痛手である。
壊滅的な状況に直面しているのは七面鳥だけではない。ワシントン・ポスト紙によれば、今年はニワトリや七面鳥などの4460万羽の家禽(かきん)類が、インフルエンザや予防処置で死んでいるそうだ。そして今後もさらに多くの犠牲が出て、2015年に記録した5050万羽を上回るのではないかと見られている。
ホリデーシーズンに我々の食卓の真ん中を飾る「大物」が、今年は20%高くなるといわれているが、こうした状況の中では、それぐらいの値上げは仕方がないのかもしれない。
動物愛護の観点からすると、残念なのは、農家の内庭を歩き回る鳥が最も危険であるということだ。それは上空を飛ぶ病気の野鳥が落としたグアノから感染する可能性があるからだという。渡りの時期に農家がブロイラーや産卵鶏を屋内に入れることがあるが、鳥を屋外での生活から守るためなのだ。
ワシントン・ポスト紙によると、一般に七面鳥は屋内飼育されないという。それゆえに、ほかの家禽類に比べ、七面鳥がより鳥インフルエンザの標的になっているということは説明がつくことのように思える。またカリフォルニア州の獣医師、アネット・ジョーンズが同紙に語ったように「七面鳥がより良い宿主となるようにウイルスが変異した」という考え方もあるようだ。
グルメ情報メディアであるEaterによれば、年末の食卓で大変なことになるのは七面鳥だけではない。乱獲と気候変動による海水温の上昇により、アラスカのズワイガニの繁殖に影響が出ているため、同州の漁業狩猟局は2022年11月、漁の解禁を中止している。ほかのカニはというと、西海岸のダンジネスクラブの漁は12月1日(木)、つまり感謝祭の時期を過ぎてから解禁される予定で、東海岸のブルークラブについては漁は行われているが、品薄なのだそうだ。
おいしい料理に欠かせないバターもウクライナ戦争や牛乳の価格、そのほかのコストの高騰により、絶滅危惧種になりつつあるという。Eaterによると、バターの価格は1月からすでに1ポンド(約450グラム)につき1ドル(約146円)上昇しており、今後も上昇を続けるだろうとのこと。米国農務省(USDA)は「必要な分だけ買ってください。パンデミックのトイレットペーパー不足のように、バターが不足することのないようにしましょう」と呼びかけている。
今年のホリデーシーズンは、先を読んで、料理にもクリエーティブになろう。そして、多くの家庭がそうしているように、食卓を囲み、自分たちがいかに恵まれているかを振り返る時間を持つべきだろう。
七面鳥を食べないことが最悪の事態であるなら、我々は幸運なのだ。
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