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ニューヨーク市ナイトライフ局(Office of Nightlife)が初めて発表したレポートが、とてもエキサイティングだ。もうはるか昔のようだが、ニューヨーク市が同局を設立したのは2018年のこと。目的は経営難に陥っている音楽ヴェニューの救済で、チームを率いているのは、ニューヨークの「初代ナイトライフ市長」に選ばれた、アリエル・パリッツだ。
2020年以降は、新型コロナウイルスの大流行により、彼女たちが設立当初に想定していなかったボリュームの課題が発生。企業支援や安全対策などの対応で、大忙しだったようだ。レポートは、ナイトライフ局のそうした活動が成功を収めたことを報告しているのだが、注目するべきトピックがほかにもある。その一つが「ナイトライフ博物館」の創設だ。レポートにはこう書かれている。
「ナイトライフ局は、地元のナイトライフの過去、現在、未来をたたえるアーカイブ施設、もしくは文化施設の創設を推奨します。我々が望むのはこの施設で、ナイトライフの多様なパーティーの歴史、自己発見とラディカルな表現、自由と社会正義のための長年の戦いが探求されること。学究分野や非営利分野などのパートナーと一緒に、ナイトライフカルチャーの記憶を紹介する施設のためのプロジェクトを立ち上げられると考えています」
ニューヨークにおけるナイトライフカルチャーといえば、その発信地となった有名ヴェニューだけでも、Studio 54、Cotton Club、Palladium、Copacabana、 Limelight、Tunnelなどが挙げられる。しかし、レポートが指摘しているように、この街のナイトライフカルチャーの歴史を紹介する施設がいまだに存在していないのは、驚きといえるだろう。
パリッツはナイトライフ博物館の重要性について次のように語っている。「ナイトライフに特化した博物館を創設することは、ナイトライフが高い文化として認められるべきだということを表明することでもあります。また、ナイトライフがこれまでもこれからも、この街への貢献であることを示すショーケースにもなります」
レポートでさらに注目なのが、同局が市に対して、街中のクラブの防音対策に資金を提供するよう提言していることだ。これは、5つの行政区の住民が絶え間なく提出している騒音についての苦情を考慮したもの。各苦情を実際に査定する際の基準の変更にも言及がある。ほかにも、DIYヴェニューやイベントを支援するプログラムの立ち上げ、遊休スペースの文化イベントへの活用、特定の場所における営業時間の24時間化など、さまざまなアドバイスがなされている。
ナイトライフ博物館の提案が最終的にどうなるか、話がさらに進んだ場合、いつ、どこで、どのように実現するかは、まだ分からない。しかし、ニューヨークに住む我々は信じている。この街には、まだ人々に気付かれていないような素晴らしい文化的体験があり、それらに触れられる機会が常に生まれているということを。
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