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アート集団チームラボがセノグラフィーを手がけた、ジャコモ・プッチーニの遺作オペラ「トゥーランドット」が2023年2月、東京で上演される。2022年6月に行われたスイス・ジュネーブでのワールドプレミアでは、「これまでの既成概念を超えるオペラ空間」と大絶賛で迎えられた。
オペラのストーリーは古代中国を舞台に、皇帝が未婚のトゥーランドット姫の結婚相手を探そうとするところから始まる。氷のように冷たい心を持つ姫は父親の意向に従おうとせず、「3つの謎をすべて正解した最初の男性と結婚するが、その謎を解けなかった者は斬首の刑にする」とし、国民からは恐れられる存在だった。
プッチーニが、同作の第3幕を書き上げる前に亡くなってしまったのは有名な話だ。3幕の作曲は助手のアルファノが引き継ぎ完成させたが、ここ数十年の間に多くの作曲家が異なるエンディングや構成で補作を制作している。しかしこの有名なオペラ作品の最大の問題は結末の問題ではなく、物語の構想に内在する人種差別主義的な要素にあるといえるだろう。
プッチーニ自身、「トゥーランドット」創作の際に中国を訪れたことはなかったという。そういった中国への誤解が「ピン」「パン」「ポン」といったキャラクターのネーミングにも表れている。また、現代のオペラ上演でも多くの演出家がプッチーニと同じような演出を続け、中国に対する時代遅れの解釈を引き継いだままなのも問題視する必要があるだろう。
しかし今回のトゥーランドットでは、最新のテクノロジーを駆使したチームラボと、ダニエル・クレーマーの抽象的なセットや演出によって、全く新しいショーを創出している。劇場がいかに過去にとらわれることなく、古典オペラの名作を温存できるかを実証したといえるだろう。クレーマーは原作の暴力的テーマを引き合いに、ストーリーをディストピアのゲームショーに例えているのだ。
「トゥーランドット ジャコモ・プッチーニ作曲オペラ」の会場は「東京文化会館」大ホールで、2023年2月23日(木)から26日(日)まで開催。チケットの詳細は、公式ウェブサイトへ進んでほしい。
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