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2021年5月からニューヨークにある高架公園であるハイラインの30丁目に、軍用ドローンの形をした巨大彫刻作品が設置されることになった。この作品を手がけたのは、アーティストのサム・デュラント。素材はグラスファイバーで、翼幅は約15メートルにもなる。実際の軍用機のように風で傾く仕様になっているが、もちろん、武器は装備されていない。
『無題(ドローン)』と題されたこの作品が最初に構想されたのは、2016年。High Line Plinthという今回作品が置かれるパブリックアートスペースための作品公募が行われたときだ。その後、ほかの12作品とともに最終選考に残り、今回、同スペースの第2弾作品として選ばれた。
作品のテーマは「戦争」。アメリカでほかの国で行っている現在進行中の「見えない戦争」を、国民にも見えるようにするという意味が込められている。また、風見鶏として機能させることで、その時々のさまざまな「政治の風」を表現するというもう一つの側面も持つという。
デュラントは、プロジェクトのステートメントで次のように述べている。「この作品は、遠く離れた場所や近い場所でのドローンの使用、監視、標的殺害について、さらには、今後も社会としてこれらの行為に同意し、継続を容認するのかどうかを考えるべきだと問題提起している。アートは、代替案やほかの可能性を推測し、語られていないもの、知られていないもの、見えないものを前に出して、議論を促すことができる行為なのです」
ハイラインは、2020年から少人数のグループや事前登録者向けに再オープンしている。現在、平日の7時から19時までは登録不要で、週末は引き続き事前登録が必要。
デュラントの作品は、High Line Plinthにおける最初のコミッションワークであるシモン・リーの『Brick House』の展示終了後、5月に設置され、2021年8月22日(日)まで展示される予定だ。
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