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草間彌生、ニューヨーク植物園での大規模個展がついに開催

1年の延期経てようやく公開される待望の展示の一部を紹介

Shaye Weaver
テキスト:
Shaye Weaver
Editor, Time Out New York
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日本を代表するアーティストである草間彌生による展覧会『KUSAMA: Cosmic Nature』が、2021年4月10日(土)から、ニューヨーク植物園でスタートする。パンデミックの影響による1年間の延期の末に、ようやく開催されることになった。

展示は園全体で展開。来場者が自然の中で美しい花を偶然見つけるように、ランダムに彼女の作品に出合い、心を通わせられるようになっている。自由奔放なカボチャや花の彫刻ほか、もちろんあの有名な『無限の間』も見られる。

ゲストキュレーターである吉武美香は、「草間にとって、(展覧会タイトルの意味する)宇宙の自然とは、宇宙における地上と天空の秩序を統合する生命力。彼女はそれを、日々の活動で掘り下げているミクロとマクロの両方の視点から見ています。そうした彼女の探求は、個人的かつ普遍的な意味を呼び起こしています。自然は彼女のインスピレーションの中心であるだけでなく、有機的な成長と生命の増殖が常に存在している、草間の直感的な芸術表現にも不可欠なのです」と説明。

ニューヨーク植物園の展示・顧客エンゲージメント担当副社長であるカレン・ダウブマンは、「草間の芸術、自然、宇宙の接点における特異なビジョンを我々の植物園で展示することは、一生に一度のプレゼンテーションの機会です」と語っている。

そして展示に先立ち、草間自身も3月6日に今回の展示についてのメッセージを発表している。「私たちの宇宙で踊っているのは、謎に満ちた壮大な形の崇高な魂たちです。私の芸術である、愛の美に向けた無限に広がる叙情詩を探求してください」

『KUSAMA: Cosmic Nature』での時間を最大限に楽しむため、注目するべき作品を紹介する。

Infinity Mirrored Room — Pumpkins Screaming About Love Beyond Infinity

Pumpkins Screaming about love beyond infinity yayoi kusama
Photograph: Courtesy Yayoi Kusama

 草間の『無限の鏡の間』がチェルシーのデビッド・ズウィナー・ギャラリーでの展示を終えてから、誰もがこの作品がニューヨークに戻ってくるのを待っていた。園内にある建物に設置された展示空間の中で、草間のアイコンである黒の水玉模様がついたオレンジ色のカボチャが何千個も明るく光る。

草間はカボチャについて「世界で一番愛すべき植物です。カボチャを見ると、私の全てであるという喜びがわき、畏敬の念を抱くことはない」と表現している。


Flower Obsession

Flower Obsession Yayoi Kusama
Photograph: Shaye Weaver/Time Out

これまで作ってきた『消滅の部屋』を温室で展開した新作。来場者は、展示入り口で渡される花の形をしたシールと立体の造花シール(ポピーやデイジーなど)を、温室の好きな場所に貼ることができる。人々がシールを貼れば貼るほど、温室とその中の全てのものが、「水玉の海」へと変化していく。このインスタレーションは、草間が初めて見た、あらゆる表面を覆う花の幻覚と、実家の種苗会社の温室で過ごした幼少期から着想を得ている。

Dancing Pumpkin 

Dancing Pumpkin Yayoi Kusama
Photograph: Courtesy Ota Fine Arts and David Zwirner

 彼女のほかのカボチャの彫刻とは異なり、この巨大な作品はクモやタコのような巨大な足を持つ。足の周りを歩くことも可能。温室の芝生の上に設置されている。

I Want to Fly to the Universe

Dancing Pumpkin Yayoi Kusama
Photograph: Courtesy Ota Fine Arts and David Zwirner


来場者が植物園のゲートをくぐって最初に目にする彫刻作品。高さ13フィート(約3.5メートル)の生物のようなフォルムで、その下の池に映し出される「原始の顔」で来場者を迎える。水玉模様の巨大な生き物は、今にも動き出しそうだ。

草間はこの作品について「私は生命のエネルギーを宇宙のドットに変換しています。そのエネルギーは、愛とともに空へと飛んでいくのです」と語っている。

Narcissus Garden 

Narcissus Garden Yayoi Kusama
Photograph: Courtesy Ota Fine Arts, David Zwirner and Victoria Miro

2018年にニューヨークのフォート・ティルデンで公開されたことがあるが、今回ニューヨーク植物園では、新しい形での展示となる。Native Plant Gardenに広がる長さ230フィート(約70メートル)の池の水面に浮かぶのは、直径約12インチ(約30センチ)ある1400個のステンレス製の球体。自然の光を反射する球体は風や流れによって移動するため、同じ形で見ることはできない。球体が動くと、見ている人を瞑想(めいそう)的な気持ちに導くような、静かな音が鳴り響く。

もう一つの大規模な「無限の間」作品である『Illusion Inside the Heart』は、色付きガラスを通した、変化する自然光を見る空間。感染防止のガイドラインのため、今夏のオープンとなる。

温室の中では、最近修復されたPalms of the Worldギャラリーのドームの下に、色鮮やかな水玉模様の花の作品『My Soul Blooms Forever』を見ることができる。Seasonal Exhibition Galleriesにあるのは、ゴージャスなピンクとゴールドのモザイクが印象的な作品『Starry Pumpkin』。ピンクの水玉と調和するように選ばれた葉と花に囲まれている。『Hymn of Life—Tulips』は、グラスファイバー製の大きな花が3つ並んでいて、温室の中庭にある池から生えているように見える作品だ。

少し離れた場所にあるLibrary Buildingでは、草間の初期の作品を展示。1945年に使われていたスケッチブックから、彼女の細部へのこだわりを示す約50点のドローイングを見ることができる。また、1958年から1973年までニューヨークに住んでいた時に生まれた前衛的なアイデアも紹介。その時代に生まれた植物のドローイング、彫刻、キャンバスに描かれた植物とその無限のパターンを描いた絵画などが並ぶ。

『KUSAMA: Cosmic Nature』は、10月31日(日)までの開催。

原文はこちら

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