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50年前の夏、ニューヨークのブロンクスで開かれた新学期を迎える前のパーティーでヒップホップが産声を上げた。DJ、MC、ブレイクダンス、グラフィティの芸術性、知識の5つの要素から成るこのカルチャーは、今では世界で一大センセーションを巻き起こす存在になった。
「ヒップホップ50年」を記念して、ニューヨークでは2023年の一年を通じてヒップホップの歴史と未来を祝う、写真展やファッション展覧会といったさまざまなイベントが開催される。その中から注目するべきものを紹介しよう。
1. Hip-Hop: Conscious, Unconscious
我々が今「ヒップホップ」と呼ぶカルチャー、つまり満員のアリーナ、グラミー賞、ラジオで見たり聞いたりしているものは、ニューヨークで、DJやブレイクダンスから発展した。
フラットアイアン地区にある写真美術館「Fotografiska」では2023年5月21日(日)まで、このカテゴリーの初期から今日までの進化をたどる展覧会「Hip-Hop: Conscious, Unconscious」が開催中だ。
展示の中心は、57人の写真家による力強い200枚の作品。スヌープ・ドッグ、メアリー・J. ブライジ、ジェイ・Z、ローリン・ヒル、ビースティ・ボーイズなどが被写体となったヒップホップカルチャーを象徴する写真と、あまり知られていない写真の両方を見ることができる。
そのほか、シュガーヒル・ギャングの「Rapper's Delight」のブートレグ版8トラック、初期のヒップホップパーティーの手書き招待状、「Physical Graffiti: Breaking is Hard to Do」と題されたヴィレッジボイスの記事といった魅力的な品々も展示されている。
共同キュレーターは、エンターテインメント企業Mass Appealのチーフクリエーティブオフィサーであるサシャ・ジェンキンスと、写真家のサリー・バーマンが担当した。
2. Fresh, Fly, and Fabulous: Fifty Years of Hip-Hop Style
チェルシーにあるファッション工科大学のミュージアムで開催されている企画展「Fresh, Fly, and Fabulous: Fifty Years of Hip Hop Style」では、カンゴールハット、ダッパー・ダンのジャケット、ティンバーランドにインスパイアされたマノロなどにスポットライトが当てられている。
この展示は、ヒップホップの誕生とその過去50年間におけるファッションへの影響をたたえるもの。ヒップホップスタイルの進化における重要な瞬間を捉えたジュエリーやスニーカー、ジャケットなどが並ぶ。
ミッシー・エリオット、LL・クール・J、カーディ・B、チャンス・ザ・ラッパー、リル・ナズ・X、チャックD、アリーヤ、グランドマスター・フラッシュ&ザ・フューリアス・ファイブといったアーティストが着用して人気を博したルックも紹介。さらに「ダッペル・ダン」、エイプリル・ウォーカー、「クロスカラーズ」、「カールカナイ」「ショーンジョン」、「ラルフ ローレン」、「トミー ヒルフィガー」、「ルイ・ヴィトン」、「グッチ」、「ヴェルサーチェ」などのデザイナーやブランドの作品も見られる。
100点以上のファッションアイテムを通して試みられるのは、革命的で影響力のあるヒップホップスタイルの大規模かつ包括的な探求だ。入場は無料で、4月23日(日)まで開催している。。
3. [R]Evolution of Hip Hop
ヒップホップはブロンクスで生まれたのだから、同地でその50年を祝うのは理にかなっている。2023年夏まで開催中の「[R]Evolution of Hip Hop」展を見に、「ブロンクス ターミナル マーケット」へ向かおう。
キュレーションは、ブロンクス・ポイントに2024年にオープンする予定で現在建設中の「The Universal Hip Hop Museum」が担当。展示品のほか、マルチメディアや人工知能、仮想・拡張技術を駆使したプレゼンテーションを通して、1986年から1990年にかけてのヒップホップ黄金期の歴史にどっぷりと浸かることができる。
4. Collections of Culture: 50 Years of Hip Hop Inside Libraries, Museums and Archives
「クイーンズ公共図書館」は、ヒップホップ50年を記念して、全米の30以上の組織と提携し、イベントシリーズ 「Collections of Culture:50 Years of Hip Hop Inside Libraries, Museums and Archives」を立ち上げた。4月中旬から、ヒップホップの歴史とアメリカ文化への影響について、参加団体によるパネルディスカッション、作家講演、教育フォーラム、ワークショップなどが開催される(詳しいスケジュールはこちら)。
この取り組みがピークを迎えるのは、8月3日(木)〜4日(金)の2日間。クイーンズで開催される「サミット」においてヒップホップの歴史に加え、高等教育やマーケティング・広告、ほかのジャンルの音楽、社会正義、公民権、経済など、社会のさまざまな分野へのヒップホップの拡大についてさらに掘り下げられる予定だ。
クイーンズ公共図書館は、以前からこのジャンルにスポットライトを当てることに力を注いできた。同館は2015年にヒップホッププログラムを設立。長寿音楽テレビ番組「Video Music Box」を立ち上げた「ラルフおじさん」の愛称で知られるラルフ・マクダニエルズを初めてのヒップホップコーディネーターとして迎え、定期的に企画を展開している。
さらに、ヒップホップの起源から現在までの関係者による写真、定期刊行物、オーディオテープ、ビデオテープ、著作、ニュース記事、チラシ、オーラルヒストリーなど、クイーンズにおけるヒップホップ遺産の収蔵に積極的なことでも知られる。
5. 次は何?
ヒップホップ50年を祝うために、ニューヨークでさらにどんなイベントが発表されるのか、我々はワクワクして待っている。2022年末の記者会見でニューヨーク市長のエリック・アダムスは「これまで見たことのないような祝賀パーティー」を約束したとCBSニュースは報じている。
イベントリーダーの一人は、セントラルパークでの大規模なコンサートを示唆。2024年には「The Universal Hip Hop Museum」のオープンが予定されていることもあり、セレブレーションはさらに波及しそうだ。
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『Celebrate 50 years of hip-hop with these NYC events and exhibits(原文)』
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