[title]
国連によると、世界では16億もの人々が標準以下の住宅に住んでおり、1億人が全く家を持っていないといわれている。つまり、今は気候変動の危機が迫っているだけでなく、世界的な「住宅危機」でもあるのだ。では、どうすれば地球を破壊することなく、何百万もの新しい住宅を建設できるのだろうか。
デンマークのスター建築家、ビャルケ・インゲルスのスタジオであるBIGと、建設会社のICONとLennarは、その解決策を持っているといえる。厳密に言うと、少なくともその一部ではあるが。
その解決策とは従来の組積造の建物よりもはるかに早く、簡単に造ることができる「3Dプリント住宅」。この3社が今、一つの街の住宅を全て3Dプリンターで造るという取り組みを行っているのだ。
このプロジェクトの中核技術を提供するのが、アメリカのテキサス州に拠点を構えるICON。同社は、ロボット工学とソフトウエアを使ってコンクリート製の家を「印刷」し、組み立てることができる「Vulcans」と呼ばれる機械を製造。この機械を使えばエネルギー消費や資源の浪費を抑え、常に高いスペックの住宅を建てることが可能で、さらに従来に比べて弾力性があり、エネルギー効率も高いものになるという。
3社による新しい住宅が造られるのは、テキサス州オースティン。具体的な敷地(および詳細なフロアプランやデザイン)については、2022年に発表されるため詳細はまだ不明だが、プロジェクトが完了後には、3Dプリンターで造られた100軒の家が並ぶ全く新しい住宅街ができる予定。こうしたプロジェクトの中では、世界でも最大規模のものになる見込みだ。
ICONが3Dプリント住宅を手がけたのはこのプロジェクトが初めてではない。同社では2021年初め、オースティン東部の小さなコミュニティーであるEast 17th Street Residencesに4軒の3Dプリント住宅が完成。洗練された外観で広々としていて非常に魅力的だったため、これらの物件はすぐに売り切れた。
ではBIG、ICON、Lennarの最新プロジェクトの場合はどうだろう。今後の世界的な住宅危機を解決する手立てのヒントとなるだろうか。その可能性は十分にあるといえる。環境面でのメリットを考え、我々はこのプロジェクトに大いに期待したい。
関連記事
東京の最新情報をタイムアウト東京のメールマガジンでチェックし