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第35回東京国際映画祭で観るべき作品10選

「生きる LIVING」「コーダ あいのうた」など注目作を上映

Emma Steen
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Emma Steen
Former writer, Time Out Tokyo
TIFF 2022
Photo: ©Sapushpa Expressions and Pilgrim FilmPeacock Lament
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世界の映画祭で話題の作品を紹介する「東京国際映画祭」が、2022年10月24日(月)から11月2日(水)まで開催される。今年はワールドプレミア上映や日本未公開の外国映画など、計117本の作品が集結。Netflixの映画ラインアップに飽きてしまったという人は、足を運んでみるといい。ここでは、日本最大の映画の祭典で観るべき10作品を紹介する。

オープニング作品:「ラーゲリより愛を込めて

瀬々敬久の「ラーゲリより愛を込めて」が、映画祭のオープニング作品としてワールドプレミア上映される。二宮和也と北川景子が夫婦を演じた同作は、第二次世界大戦末期にシベリアの強制収容所に送られた日本兵と、その家族の絆を描いた実話。

原作は辺見じゅんのノンフィクション、「収容所から来た遺書」だ。帰国の希望を持ち、仲間を励まし続けた山本幡男の半生は、観るものを感動の渦に巻き込むだろう。

クロージング作品:「生きる LIVING

黒澤明監督の名作映画「生きる」をリメイクした「生きる LIVING」が、映画祭のクロージングを飾る。還暦直前に余命半年を告げられた主人公が人生を見つめ直す姿を、オリバー・ハーマナスが描き、「ラブ・アクチュアリー」で知られるビル・ナイが主演を務めた。脚本は、ノーベル賞作家のカズオ・イシグロが担当している。

観るべき日本映画

山女

舞台となるのは、冷害による飢えに苦しむ東北。飢餓に苦しむ少女・凛は、入ってはいけないとされる山の奥深くで、村人たちから恐れられる不思議な山男と出会うのだった。本作でテーマになっているのは、自然の脅威や村社会の閉鎖性と集団性、そして信仰の敬虔(けいけん)さと危うさだ。山田杏奈の演技にも注目したい。

ひとりぼっちじゃない

伊藤ちひろが自身の小説を映画化し、初監督を務めた作品。人とのコミュニケーションが苦手な歯科医のススメは、マッサージ店で働く宮子に出会い、恋をする。突然連絡が取れなくなるなど捉えどころのない宮子にススメは苛立ちを覚え、宮子の奇妙な行動の原因を探ろうと過去を調べるが、彼女の身に起きた驚愕(きょうがく)の事実を知ることになる。生々しいほどの純愛と狂気の物語に、心を揺さぶられるはずだ。

エゴイスト

ファッション雑誌の編集者を目指し故郷の田舎から上京した浩輔が、母を支えながら暮らすパーソナルトレーナーの龍太と出会い、愛を模索する物語。高山真の自伝小説を、松永大司が実写化した感動のLGBT映画だ。

あつい胸さわぎ

初恋の相手への恋心と女手一つで育ててくれた母の思い、胸を残すか失うかの選択。本作は乳がんを宣告された10代の千夏を主人公に、母娘の絆を描いた美しいドラマだ。上海国際映画祭で「アジア新人賞」を受賞したまつむらしんご監督と、映画「凶悪」で日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞した脚本家、髙橋泉のタッグによる注目作。

観るべき外国映画

ヌズーフ/魂、水、人々の移動

戦火のシリア、ダマスカスに住む家族を14歳の少女、ゼイナの視点から描いた作品。ベネチア国際映画祭で観客賞を受賞した、シリアのスダデ・カーダンが監督を務めた。ある日ミサイルが家に落ち、屋根に大きな穴が開いてしまう。突然外の世界にさらされたゼイナは、父親の束縛の先に何が待っているのかを考える

コーダ あいのうた

「第94回アカデミー賞」でアカデミー作品賞、助演男優賞、脚色賞を受賞した「コーダ あいのうた」は、本映画祭で無料野外上映される。「コーダ」とは、聴覚障がいがある親を持つ耳が聞こえる子どもの意味。2014年のフランス映画「エール!」のリメイクで、家族の中でたった一人の聴者である少女・ルビーと、その家族を描いた作品だ。

ルビーは、学校の合唱部に⼊ったことをきっかけに歌の才能を⾒出される。バークリー⾳楽⼤学の受験を勧められるほどになるが、漁業を務める家族との関係と、自分の夢のどちらかを選ばなければならない。耳の聞こえない家族に、ルビーが手話を使ってジョニ・ミッチェルの名曲「⻘春の光と影」を歌い上げるシーンは、涙なしには観られないだろう。

第三次世界大戦

俳優としても活躍するイラン人のホウマン・セイエディによる、次期アカデミー賞の国際長編映画賞部門出品が決定した作品。ストーリーは、震災で妻と子どもを失った主人公を中心に展開する。日雇い労働者のシャキブは、第二次世界大戦を題材にした映画のエキストラとして働いていた。しかしヒトラー役の俳優が突然倒れたことから、いつの間にかヒトラー役に抜てきされてしまうのだった。

奇想天外な設定で繰り広げられるドタバタスリラーに、最後まで目が離せない。

孔雀の嘆き

スリランカ出身のサンジーワ・プシュパクマーラが監督・脚本を務め、東京国際映画祭ではワールドプレミア上映になる作品。両親を亡くしたアミラは、心臓病を患う妹と4人の兄弟を養うためコロンボに移住する。心臓手術に必要な高額な費用のため、アミラは新しい会社で働くことになるが、その会社は望まれない妊娠で生まれた子どもを人身売買する組織だった。

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