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トルコはカフェ文化発祥の地であり、町中にカフェハネやチャイハネといった喫茶店があふれ、人々の暮らしは喫茶と深く結びついている。
2021年5月1日、荏原町にオープンしたターキッシュ カフェ アンド バー ドアル(Turkish Cafe & Bar Dogal)は、そんなトルコの茶やコーヒー、そして酒を気軽に楽しめるカフェバーだ。営業形態も現地のスタイルにならい、昼休みを挟まず、昼から夜まで同じメニューを提供する。開店直後からトルコの酒を飲める貴重な一軒である(ただし、緊急事態宣言中は酒類の取り扱いはしていない)。
トルココーヒーやチャイなどの喫茶メニューから、トルコワインや、「ラク」と呼ばれる蒸留酒などの酒類までを豊富に取りそろえる。トルコの伝統菓子である「バクラヴァ」や「ロクム」、ナッツ類のつまみも用意。喫茶メインの店なので、食べ物は基本的にお茶うけやつまみをラインアップしているが、気まぐれに本格的なトルコの料理を作ることもあるという。
店主のメテ・レシャット・キュプチュは高品質な「食」にこだわりのある人物だ。トルコからの食品輸入業を手がけ、自分の舌で厳選した食品を扱っている。当初、荏原町では食材店のみ運営していたが、販売している食材を実際に味わえる場を作ろうと思い立ち、近くにカフェバーをオープン。提供するメニューを食材店で買って帰る相乗効果の狙いもある。
トルコでは焙煎(ばいせん)したコーヒー豆の粉末を直接鍋で煮込み、小さなカップで濃厚なコーヒーを味わう、いわゆる「トルココーヒー」という入れ方が一般的。カップの底にはコーヒーの粉がたまっており、カップが粉だけになる寸前まで飲む。また、マスティックと呼ばれる樹液の清涼剤と水、菓子のセットで出されることもあり、メニューにある『マスティック フレーバー トルコ コーヒー』では、苦味の中に爽快さを覚える風味を堪能できる。
チャイももちろんトルコ式。「チャイダンルック」という二段重ねのやかんを用い、上段で蒸し上げ、濃く抽出した紅茶を、下段の熱湯で薄めて入れる。トルコの茶の名産地であるリゼ産のもので、苦味がなく、さっぱりとした印象だ。
同店でぜひ食べてほしいのは、さくさくのパイ生地にとびきり甘いシロップをしみ込ませたトルコを代表するスイーツ「バクラヴァ」。かつてはクルミ入りのものがポピュラーだったそうだが、今はピスタチオ入りのものが主流だという。同店で提供する「バクラヴァ」は、愛知にあるトルコ風パティスリー、ベイザーデ バクラヴァから取り寄せた珠玉の逸品である。
また、「ターキッシュディライト(トルコの悦び)」という異名を持つ「ロクム」もおすすめ。すあまのような柔らかい食感が癖になるスイーツだ。トルコの菓子の中では「甘さ控えめ」の部類に入る。同店で扱うものはイスタンブールの老舗、ディヴァン社の製品。コーヒーを頼むと1個付いてくるので、試してみたい場合は、コーヒーを注文してみるのもいいだろう(味は店主のおまかせ)。
ほかにも同店では、トカット地方などトルコ中の多種多様なワインを満喫できる。トルコで一番ポピュラーな酒である「ラク」という蒸留酒は、日本ではなかなかお目にかかれないので、ぜひチャレンジしてほしい。ラクのつまみにピッタリな、黒にんじんを発酵した「シャルガムスユ」というジュースも忘れずに。独特の強烈な酸味が相性抜群で、口にすればするほど酒が進んでしまう魔性の組み合わせだ。
荏原町には、最近トルコレストランや雑貨店などが増えている。この街でトルコの文化に浸ってみるのもいいのかもしれない。
ターキッシュ カフェ アンド バー ドアルの詳細情報はこちら
テキスト:大橋洋介
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