自分が触れていた音楽とは明らかに違いました
―おふたりが民謡に関心を持ったきっかけは何だったのでしょうか。
フレディ:僕の場合は弾みです(笑)。それまではジャズを歌っていたんですけど、日本語みたいに英語を喋ることもできないし、英語詞を歌うことにどこか違和感があって。そんなとき、たまたま入った蕎麦屋で流れていたテレビ番組で民謡がかかっていたんですよ。自分は愛媛出身なんですけど、ちょうど(愛媛県民謡である)『伊予万歳』がかかっていたんですね。それがものすごい歌で、「うわっ、すごい。これだ!」と思いました。それが27、8年前だと思います。
―その体験の直後に民謡を習い始めたそうですね。
フレディ:そうですね。その蕎麦屋の裏に民謡教室をやっている先生がいて、そこに習いにいったんですよ。蕎麦屋のおばちゃんから『昨日から民謡教室を始めたみたいよ』って聞いて(笑)。それまで自分が触れていた音楽とは明らかに違いましたね。日本全国の歌があって、歌うと脳裏に景色が浮かぶ。教室に通ってる生徒さんも『秋田大黒舞』なんかをすごく格好よく歌ってるし、どんどんのめり込んでいったんです。
―民謡の歌唱法は、それまでフレディさんが歌っていたジャズとはあきらかに違うものですよね。
フレディ:最初はなかなかコブシをひと回しする勇気がないんですよ。河原でずっと練習しているうちに、自然とコブシを回せるようになりました。演歌とはまた違う響かせ方なので、やり続けるなかで体得するしかないんです。遠くに響かせる声の出し方なんですよ、民謡って。
フレディ塚本