ー今年の夏はいくつかのフェスティバルに出演されていましたが、印象に残ったものはありますか。
ラトビアの『ポジティヴス・フェスティバル(Positivus Festival)』が最高だったよ。ロケーションが海の真横で、ビーチに寝転んでビールを飲みながら、ホセ・ゴンザレス(Jose Gonzalez)の演奏を聴いてさ。本当に良い思い出だよ。
ー『Relaxer』の曲は、どのようにステージで演奏しているのですか。
これまでと大きな変化はないよ。俺たちのライブは、可能な限り忠実にアルバムを再現することをステージ上で目指しているんだ。
ー『Relaxer』には過去2作には無かった要素も感じました。例えば1曲目の『3WW』のイントロはティナリウェン(Tinariwen)を彷彿とさせます。間奏のピアノに至るメランコリックな流れも美しいです。どういう過程を経てサウンドを完成させたのですか。
あの曲は色々なアイデアを縫い合わせて出来上がったんだ。導入部のギターとシンセはトム(・ソニー・グリーン)とジョー(・ニューマン)が一緒に作って、最初の詩のフレーズは俺が何年か前に書いたフォークソングのもの。コーラスは、ジョーが昔に書いた別の曲のアイデアを使っている。
中間あたりの「Girls from the pool say Hi…」って部分は、2012年にはじめてロサンゼルスに行った時に、プールで会った知らない子たちが俺たち宛に書き置きのメモを残していったことがあって。そこから思いついたんだ。
ー『Hit Me Like That Snare』は、レディオヘッドの新作からインスピレーションを得たそうですね。あなたたちとレディオヘッドは過去によくメディアによって比較されていました。ご自身では、どういった部分が比較対象とされる要因だと思いますか。
どちらのバンドもパーソナリティを前面に押し出さずに、アヴァンギャルドでクールな音楽を作る、情よりも知性に訴えかけるバンドだと思われてるからなんじゃないかな。
ープロデューサーのチャーリー・アンドリュー(Charlie Andrew)は、あなたたちにとってどんな存在ですか。
チャーリーはすごくいい耳を持ってて、俺たちがやろうとしていることを深く理解してくれるんだ。彼のアイディアを聞きながら曲を一緒に完成させることはいつもすごく刺激的だよ。そして彼はすごく大事な友だちさ。
ー『Relaxer』の制作期間中はどんな音楽を聴いていましたか。
俺はアルバムを作っている最中はあまりほかの音楽を多く聴かないように心がけてはいるんだ。けれど、2016年はビートルズをたくさん聴いていたよ。多分、君はそれを『Relaxer』から感じとれるんじゃないかな。
ー最近気に入っている音楽は?
マリカ・ハックマン(Marika Hackman)※1 の最新アルバムがすごく好きだね。それからビバ・ブラザー(Viva Brother)※2 の新曲も。
※1 ロンドンのシンガーソングライター
※2 ロンドンのロックバンド。2012年に解散し、2017年に再結成を発表
ーミュージックビデオの監督には、ヤング・レプリカント(Young Replicant)※3 を迎えていますね。彼のスタイルのどんなところにひかれていますか。
彼は予期外のものを生み出すセンスに長けた、すごいディレクターだよ。俺たちは彼の意外性のあるスタイルが好きなんだ。
※3 フライング・ロータス、ザ・エックス・エックス、ロードらのビデオを手がける映像作家
ービデオで表現されているものと楽曲はリンクしているのでしょうか。
俺たちは曲の詩そのものを文字通り説明するようなビデオはあまり作らないんだ。どちらかというと、より抽象的に曲のフィーリングを表現してる。たとえば『Left Hand Free』だったらパーティー、『Hunger of the Pine』だったら緊張、みたいに。
ーあなたたちのファーストアルバムを『NME』は「smart, sexy, baby-making music」と評しました。『Relaxer』にもこの言葉は当てはまると思いますか。
もちろんだよ!というか、そう思いたいよね。みんなが1作目から3作目に至るまでの進化の道筋をはっきりと感じとってくれていることを願うよ。