ーシュレップァーさんは2009年にバレエ・アム・ラインの芸術監督に就任し、今年でちょうど10年ですね。
エイリヒ・ヴァルター、ハインツ・シュペルリ、ユーリ・バモスなど錚々(そうそう)たる顔ぶれが歴代の芸術監督に名前を連ねてきたバレエ・アム・ラインは、私が就任する以前から成功を収めているバレエ団でした。私は作品の方向性をそれまでよりも抽象的なものにしましたが、カンパニーの規模自体はさほど変わっていません。
私が大きく変えたことといえば、アーティスティックな条件・状況でしょう。具体的に言えば、スタジオが5つ入った3000平方メートルのバレエハウスを作りました。これは、私が芸術監督の任期を延長する際に出した条件で、デュッセルドルフの街が資金を出し、3年ほど前に完成したものです。
ーその施設ができたことには、どんな効用がありましたか?
バレエハウスができてから、舞台と同じサイズでリハーサルしたり複数の作品を並行して稽古したりといったことが可能になりましたし、マッサージや治療などの設備やサウナ、静かに過ごせる部屋、キッチンなどもでき、オフィスにも十分なスペースが取れるようになりました。
例えばハンブルク・バレエには、ジョン・ノイマイヤーの尽力により同様の施設がありますが、彼が作ったのはダンスブームだった1970〜80年代。それを、文化のためにお金を使うことが難しくなっている昨今にあって実現できたことはとてもうれしく、サポートに対して感謝しています。
皆が輝かしい仕事をした結果、私が着任してからの5年間で売り上げや認知度が飛躍的に伸び、そのことが市の投資に結び付いたという意味では、チーム全体の功績だといえるでしょう。